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日本代表 9年前

アジア杯敗退から学んだ5つの問題点。変化のない主力、解決されない積年の課題

text by チェーザレ・ポレンギ photo by Getty Images

3.アギーレジャパンの抱える2つの主な問題点は古くから共通するもの

 上記したサムライ・ブルーのメンバーに「新たな世代」を加えなければならないだろう。そして、それはこのチームが長年抱えている問題であり、いまだ解決されていないものだ(2010年夏、成功したW杯後に数人の選手が欧州のクラブへ渡ったように)。

 まず考えなければいけないのが守備の脆弱性だ。闘莉王と中澤というワールドクラスの2人を擁した南アフリカの後、ザッケローニ監督の下での日本は最後尾が恐ろしく脆かった。

 2013年と2014年に行われたワールド・トーナメントの厳しい結果だけでなく、日本は常に相手の攻撃陣に脅威を与えられ続けてきた。象徴的なのは2014年3月に国立競技場で行われたニュージーランド戦だ。日本は4得点を決めたものの、決して強敵とは言えない相手に2ゴールを許している。

 現在、この問題は前述したようにCBの前にアンカーを復活させたことで若干は改善された。それでもUAEとの試合においては、立ち上がりのポジショニングミスから2度の大きなピンチを迎える姿を再び露呈した。結局、日本はPK戦の末に早期の帰国を余儀なくされ、目標を失ってしまった。

 UAE戦で見せたようなミスは、国際レベルでの試合で絶対に犯してはいけないものだ。オーストラリアでの日本は、世界的なストライカーと対峙してはいない。

 しかし、我々はシンガポールでのブラジルとの親善試合において、ネイマールから4得点を浴びる“パーティー”を目の当たりにしている。つまり、2、3ヶ月も前に我々はDFラインに起こる問題を知ることができていたのだ。

 第2の問題は、当然のことながらワールドクラスのストライカーの不在だ。そこで考えなければならないのは、韓国のソン・フンミンがウズベキスタンとの準々決勝で何をしたかだ(日本が敗れたUAEとほぼ同レベルの相手に対して、その守備を切り裂いて試合を決定づける2ゴールを挙げた)。

 岡田監督の日本代表は、W杯でストライカーを排除し、本田圭佑を「ファルソ・ヌエベ(偽9番)」として起用した。

 その後、ザックは最低7人(前田、李、ハーフナー、柿谷、大迫、豊田、そして大久保)の選手を起用して最高のストライカーを探し出すことに苦心した。

 アギーレはそのリストに、さらに皆川と小林、武藤を追加した。それでも結局、このメキシコ人も純粋なストライカーを起用しない方針を決心したのだ(彼は、日本人FWのレベルを考え、アイデアと選択肢を明確にした)。

 日本が近年排出した唯一のワールドクラスのストライカーは岡崎だ。しかし、彼は必ずしも“ハングリーなストライカー”ではない。

 この28歳は、得点力のあるFWであるが、何よりも90分を通して疲れを知らずに働くことによって貢献している。そして、それがしばしば「ゴール前での精度不足」という副作用を生んでいるのだ。

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