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内田が言う「勝てばよし」。安定感を増すシャルケ。“手堅い”ディ・マッテオの守備戦術

text by 本田千尋 photo by Getty Images

後半戦、勝ち点7を積み上げ3位に浮上

 10分のシャルケの先制点は、こうした形から生まれた。ボアテングの右サイドからのクロスに、バルネッタが飛び込んで、ダイレクトで決める。1-0。

 しかしその後の試合展開はスペクタクルに欠けた。ボルシアMGが主にシャカ、ラファエルを中心にボールを回すが、5人+3人の二重の壁を崩していくことは出来ない。

 そしてシャルケもカウンターにスピードは無く、例えばヴォルフスブルクのそれに比べると、かなり見劣りはする。もっとも先制していたこともあり、無理をする必要がなかったこともあるが。

 内田「まあ1点取っていたから、マルコ(・ヘーガー)は調子良かったし、走ってくれていたし、そんなにオレが行かなくてもいいし。行って、サイド空けられるようなら、行く必要はないかなあ。向こうが上手くサイドチェンジしてきたときに、スペースを消しながら、向こうを後ろで回させるようにポジショニングだけしっかりしていれば」

 ボルシアMGは、引いたシャルケに対して63分にスピードのあるトラオレ、75分に長身のルゴタを投入する。しかし結局、状況を打開することは出来なかった。

 ボルシアMGは、シャルケに上手く「回させ」られたことになる。試合後のボール支配率は、シャルケ:31%に対してボルシアMG:69%である。

 内田はシャルケの勝利を「紙一重」と振り返ったが、ディ・マッテオの守備戦術=5-3-2は、さらに安定し、まるでこじ開けることが困難な城門のようである。

 それはともすれば「アンチ・フットボール」とも捉えられてしまいそうなサッカーだ。しかし後半戦が始まって以来勝ち点7を着実に積み上げ、気付けばシャルケは3位と、来季CL出場権の獲得圏内へと引き上げている。

 CLの舞台では、テレビ放映権料や、チケット収入、スポンサーシップといったビジネス面での多大なメリットがあるのも事実である。

 内田は言う。「勝てば良し」

 サッカーに正解はないのである。

【了】

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