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Jリーグ 9年前

アニメはJリーグ人気向上の起爆剤となるか? J2クラブとの異色コラボが実現した理由

text by 後藤勝

J1ではなくJ2とコラボした理由

 作品選びには、各々、相応の背景がある。

アニメはJリーグ人気向上の起爆剤となるか? J2クラブとの異色コラボが実現した理由
新熊康助東京ヴェルディ・ソーシャルメディアディレクター

『のうりん』は岐阜県の加茂農林高校をモデルにした農業高校が舞台で、原作者の白鳥士郎氏はFC岐阜のファン。

『甘城ブリリアントパーク』は東京郊外架空の街・甘城市にある閉園寸前の遊園地が動員を増やしていく再生のストーリーで、東京Vが置かれた状況に酷似。『ガールズ&パンツァー』は茨城県大洗町の弱小校が知恵と団結力で戦車道日本一を達成するスポ根もので、やはりストーリーの内容と舞台設定にシンクロするところがある。感情移入しながら地域とクラブにのめり込む媒介となるべき作品群なのだ。

 本来はさほどアニメに興味のなさそうな馬場から、企画の趣旨を理解した「いつも行っている街(大洗)がアニメ化されている。これからもっと観ていこうと思っている」という談話を引き出しただけでも、その効果の一端が見てとれるのではないだろうか。

 東京Vの新熊氏は「去年の『とある科学の超電磁砲』ではホームタウンのみなさんもヴェルディがそういうことをやるんだという反応で、今までと違った関係がつくれた。イベントとしても新鮮でウケはよかったと思います」と言った。アニメがクラブと地域の架け橋になっているとも言える。

 廣岡氏は「こちらから声をかけさせていただくことがあるかもしれません」と、他クラブ、他作品との連携は否定しなかった。一方で「J1を観る機会はあるかもしれないけれども、J2にはロマンがある」という言葉も残している。Jの土台を支える小規模クラブから発信するこの企画の芯を捉えているからこそなのかもしれない。

「アニ×サカ!! を成功させてJリーグを盛り上げていきたい」(沼田社長)

「アニ×サカ!! という機会をプラスに捉えてがんばろうと思います(馬場賢治)

「もっともっと、サッカーを知らなかったひとがサッカーの魅力を知ったり、アニメの好きなひとがサッカーも観てみようかなという気持ちになったりできるようにしたい」(大坪由佳)

 こうした登壇者の言葉どおり、アニメがJを背中から押してくれる存在になりつつあるのだとすれば、それは受け容れてもよいのではないだろうか。

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