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選手は「金を生む機械」ではない。主役をないがしろにするカタールW杯“冬開催”議論

22年カタールW杯は、冬開催となるのだろうか。欧州各国リーグ戦のみならず、CL、ELもグループステージの真っ只中にあるこの時期、リーグ側からの反発は当然といえる。FIFAはビジネスを最優先に考え、この案を通すのだろうか。

text by 山本美智子 photo by Getty Images

メッシやロナウドが不在のCLとなる可能性も

選手は「金を生む機械」ではない。主役をないがしろにするカタールW杯“冬開催”議論
FIFAのブラッター会長は、12月18日までには決勝を終えるよう提案しているが【写真:Getty Images】

 2022年にカタールで開催が決まっているワールドカップを11月から12月にかけて行なうとの提案が論議を呼んでいる。現段階での提案は、11月26日(或いは19日)にワールドカップをスタートさせ、12月23日に決勝を戦うというものだ。

 これなら、ぎりぎりクリスマスにひっかかることもなく、キリスト教を信じる国から参加するみなさんにも考慮していることが伺えるでしょう、と言わんばかりのとってつけたような日程だが、プレミアリーグとスペインリーグは、この提案に真っ向から異議を唱えている。

 この時期は、通常のリーグ戦はもちろんだが、チャンピオンズリーグやヨーロッパリーグのグループステージの時期にあたる。その時期に代表選手がごっそりと抜ける状況が、想像できるだろうか。

 アフリカ選手権により、アフリカ大陸出身選手が一斉に姿を消すというケースは現状でもあるが、今回は世界代表レベルの話なのだ。現在の例でいけば、チャンピオンズリーグに、メッシもクリスティアーノ・ロナウドもクルトワもルーニーもノイアーもネイマールも出場できないということだ。

 実際、イングランドとスペインには近年のチャンピオンズリーグを支えている強豪チームが集中しており、各国の代表選手にも人気のあるリーグなのは周知の通りだ。それだけに、この期間にワールドカップが開催された場合、ビッグクラブであるほどダメージが大きくなるという皮肉な結果となる。

 また、イングランドの場合は、他のヨーロッパ各国リーグ戦と異なり、12月26日から1月1日まで大会が実施されるため、ワールドカップが23日に終わったその3日後に再び、公式戦というスケジュールとなる。

 FIFAのブラッター会長は、12月18日までには決勝を終えるよう提案しているが、これも焼け石に水、23日よりはマシというレベルであり、根源的な解決にならないだろう。

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