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震災、原発事故から4年。日本代表シェフ西氏とめぐる、Jヴィレッジ・福島・復興の今

text by 後藤勝 photo by Masaru Goto , Naoki Hiromoto

アジアカップでの敗退に責任を感じる西氏

震災、原発事故から4年。日本代表シェフ西氏とめぐる、Jヴィレッジ・福島・復興の今
出発地点のアルパインローズ前は0.09~0.10μSv/h程度。広野町内もほとんど変わらない数値のままだ【写真:後藤勝】

 広野町の線量計を西氏が運転する車に据え、6号線を福一に向かい走ることになった。車内の空気と外気とでは、内気が0.7μSv/hのときに外気が1.0μSv/h、というように線量に差があるが、あえて被曝量を高める必要はない。外気は取り込まずに走ることにした。

「6号線は周りを除染し、道路も舗装しなおしています。震災の年はけっこう高かったですよ。15μSv/hを超える、20近い数値でした。いまはほとんど振れない」

 出発地点のアルパインローズ前は0.09~0.10μSv/h程度。広野町内もほとんど変わらない数値のままだ。

 福一に近づくまで、アジアカップの話になった。

「アギーレ監督はすごくみんなに気を遣って食事会場で盛り上げていましたよ。いままでにない監督でしたね。監督がメキシコ人だということで、青唐辛子の瓶詰めを二本持っていきましたが、それがお気に入りのようでした。ステーキにかけるなどして使うんですよ。

 アギーレ監督は“あれ絶対なくすなよ!”と。最後はああいう結果になってしまって残念です。ザッケローニ監督と同じで、日本を知ろうとして日本食を食べようとしているのだなと思いました」

 オーストラリアでは牛肉やラムに比べて豚肉の流通量が少なく、食材の調達に苦労したという。ご承知のとおり、アジアカップは厳しい日程でおこなわれた。日本代表選手の疲労を回復させようと、豚肉を出す回数を増やす狙いがあったのだが――今回の日本は、バックステージでも苦しい戦いを強いられていた。

「いつもと変わりない食環境を用意する、という目標は達成できたと思いますが、大会での成績が残っていないので、ぼくとしても考えるところはありますね……。日本人は“自分が悪いんだ”と謝りますよね。

 ぼくも自分がお出しした食事について、もっと何かできることがあったんじゃないかと考えます。でも香川(真司)さんを見ていると、反省することは大事ですけれども、すべてを自分で背負い込む必要もないんじゃないかな、とも思いますね。

 それ(PK戦)までにも勝つチャンスはあったわけですから。反省は大事ですけれど、落ち込まないで、次に向けてがんばってほしいですね。次はやってくれると思います」

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