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震災、原発事故から4年。日本代表シェフ西氏とめぐる、Jヴィレッジ・福島・復興の今

text by 後藤勝 photo by Masaru Goto , Naoki Hiromoto

岡田武史氏と西氏の絆。厳しい営業を続ける意味

震災、原発事故から4年。日本代表シェフ西氏とめぐる、Jヴィレッジ・福島・復興の今
大阪高島屋のトークショーに参加した西芳照氏と岡田武史元日本代表監督と今野泰幸【写真:後藤勝】

 2011年11月1日、西氏は広野町二ツ沼公園内に新生「アルパインローズ」をオープンした。岡田氏は「おまえはいい選択をしたな。おれはおまえを誇りに思うよ」というメールを西氏に送った。

 その後も岡田氏は、採算のとれない営業をつづける西氏を気にかけ、足を運んでいた。2013年にアルパインローズを訪れた岡田氏は、経営の苦しさを慮り、援助を申し出たが、西氏は丁重に断った。

「いま援助を受けたら絶対に返せない。(自分で)やるだけやってみます」

 活動を継続できているのは、応援してくれるサッカー人が全国に散らばっているおかげかもしれない。今回の大阪滞在時には、セレッソ大阪サポーターが集う「お好み焼 鉄板焼 CHANT」で、西氏はアルパインローズのスタッフとささやかな宴を催した。

 当初はイベントとして西氏が訪れる案もあったのだが、あえてごくふつうのパーティを設定した。仕事で来ているのだから疲れを癒してもらったほうがいいだろうという、お店側の配慮だった。おそらくはこうした有形無形の志が支えになっている。

 西氏はトークショーの終わりにこう挨拶した。

「東北の復興はまだまだこれからです。みなさん、少しでもいいので、たまに思い出してください。それが東北のひとの力になります。よろしくお願いします」

 ことしの3月11日で東日本大震災から四年の月日が経つ。しかしJヴィレッジの復活はまだ始まってもいない。

※本文中に登場するすべて線量はすべて空間線量で、広野町役場から住民に供与された計測器で測定したものです。

【了】

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