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無慈悲を超えた狂気――。バイエルンを駆り立てるカウンターへの恐怖、そして決勝の地ベルリンへの渇望

チャンピオンズリーグのベスト16、バイエルンはシャフタールを2戦合計7-0で下した。アウェイでの1stレグは0-0。しかし、ホームで迎えた2ndレグでは7点を叩き込み圧勝。その姿は狂気すら感じさせるものだった。

text by 本田千尋 photo by Getty Images

試合を決定付けた2分間

 グアルディオラは「試合を完全に支配していた」と振り返った。

無慈悲を超えた狂気――。バイエルンを駆り立てるカウンターへの恐怖、そして決勝の地ベルリンへの渇望
ジョゼップ・グアルディオラ監督【写真:Getty Images】

 2015年3月11日、チャンピオンズリーグ(CL)ベスト16、2ndレグ、バイエルン・ミュンヘンはホームにシャフタール・ドネツクを迎える。なお、1stレグはスコアレスのドローで終えている。

 バイエルンの対シャフタール戦の先発メンバーは次のとおり。布陣は4-1-4-1である。

【GK】ノイアー、【DF】右SBラフィーニャ、右CBボアテング、左CBバドシュトゥバー、左SBアラバ、【MF】ボランチにシュバインシュタイガー、2列目は右からロッベン、ミュラー、ゲッツェ、リベリー【FW】レヴァンドフスキ。

 開始後でわずか2分の出来事が、この試合をほとんど決定付けた。右サイドをロッベン、リベリー、ゲッツェと繋いだところを、エリア内でDFクチェルが倒したとされ、バイエルンにPKのチャンスが与えられる。クチェルはレッドカードを受けて退場となった。

 シャフタールの指揮官ルチェスクは「レッドカードほどのファールではなかったと私は思う。あの瞬間からもう、やろうとしていたことが出来なくなった」と振り返っている。ミュラーはきっちり決めて、バイエルンが先制に成功する。

 ルチェスクの言う「やろうとしていたこと」が、1stレグ同様のしっかりとした守備ブロックからのカウンターだったであろうことは、想像に難くない。1stレグもCBとして先発したクチュルを欠いては、ルチェスクはプランの変更はおろか、断念せざるを得なかったようである。

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