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日本とは“真逆”。欧州でのアウェイ戦を続ける豪州。新たなアジア王者として確実な成長を遂げる

地元開催のアジアカップを制し、アジア王者としての活動をスタートさせたオーストラリア代表。選手の多くが欧州で活躍することに加えて地理的環境から親善試合のほとんどをアウェイで戦う中、新戦力の発掘も行うなど確実に成長を遂げている。

text by 植松久隆 photo by Getty Images

トップでの公式戦出場経験のない19歳も招集

日本とは“真逆”。欧州でのアウェイ戦を続ける豪州。新たなアジア王者として確実な成長を遂げる
アンジ・ポスタコグルー監督【写真:Getty Images】

 日本では、ヴァイッド・ハリルホジッチ新体制のお披露目となった国際親善試合2連戦に、かなりの注目が集まったようだ。

 日本が5-1の完勝で、中央アジアの雄ウズベキスタンをねじ伏せた結果には豪州メディアも反応を見せた。

 準国営放送SBSが運営するサッカーポータル「the World Game」は、「“5つ星”の日本、ハリルホジッチ新体制で2連勝」という「5得点の圧勝は5点満点で5点の最高評価」という少々捻りを利かせた見出しの記事で、淡々と試合の経過を伝えた。

 ライバル日本がチュニジア、ウズベキスタンに2連勝したのと同じタイミングで、豪州は世界王者ドイツとマケドニアとの2連戦を消化、2戦2分けという結果を残した。

 特にドイツ戦は、アジア王者たるサッカルーズが世界王者のドイツを相手にどこまでやれるかという期待感から、ただの親善試合の割には関心が集まっていたように感じた。

 3月11日に発表された今回の欧州遠征の代表メンバー23名。マーク・ブレッシアーノの引退、ティム・ケーヒル(上海申花)のケガでの辞退もあって、平均年齢が25.39歳と大きく若返った。その中でも最大のサプライズは、イタリア・セリエAの名門ラツィオに所属する弱冠19歳のMFクリス・イコノミディスの選出だった。

 左サイドのウィング、または攻撃的MFでプレーするアタッカーのイコノミディスはラッツィオ所属と言っても、今季はプリマヴェーラでプレー(公式戦で既に15得点を挙げている)、ここまでトップでの公式戦出場機会は無い。

 いや、それだけではない。彼には、豪州国内を含めて、いかなるシニアレベルでの公式戦(筆者注:コッパ・イタリアとセリエAで計3試合のベンチ入りはあるものの未出場)でのプレー経験が無いのだ。

 同時期に招集された豪州U-23代表オリルーズ(筆者注:愛称のオリルーズはオリンピックとカンガルーを掛け合わせた造語)を飛び級しての大抜擢には、当然ながら驚きの声が上った。

 しかし、同時に、自ら発掘してきたマッシモ・ルオンゴを大ブレークに導き、サッカルーズの新しい顔として育て上げた実績のあるアンジ・ポスタコグルー監督が見い出した若き才能に期待する声も大きい。

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