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マンジュキッチにノー? クロップの慎重さが呼んだ「ワントップ問題」。命運左右する来季新戦力の選択

text by 本田千尋 photo by Getty Images

尾を引いた「残留争い」へのシフト

マンジュキッチにノー? クロップの慎重さが呼んだ「ワントップ問題」。命運左右する来季新戦力の選択
ユルゲン・クロップ監督【写真:Getty Images】

 確かにバイエルンでマンジュキッチはペップと上手くいかなかった。しかしハインケスとは上手くいっている。よってクロップと上手く行かないとは限らない。が、上手くいくという保証もない。二者択一で、クロップは上手く行かない可能性を考慮した。より確実な方を選んだ。

 2月末にシャルケを圧倒し4連勝を飾った試合の後で「完璧な午後」と振り返りながら、「降格圏との勝ち点差は5ポイントしかなく、今後も勝ち点を取りこぼせる余裕などない」と付け加えていることからも、クロップの慎重な性格が垣間見える。もっとも、それは指揮官として当然の姿勢、と言ってしまえばそれまでだが。

 いずれにせよ、冬の市場で獲得をカンプルただ一人に留めたのは、クロップのそういった性格に依るところが大きいだろう。クロップは「プレッシングという基本に立ち返る」として、冬季合宿に突入した。

 強力なCFを獲得して、チームを劇的に蘇らせるのではなく、戦術理解力のあるMFを獲得することで、基本的な部分での修正を加えることにした。「残留争い」という危ない橋を渡り切るために、より確実な方法を取った。

 そして実際に降格圏から抜け出すことには成功した。しかし現時点でドルトムントは10位と中途半端な位置に付け、本来の目的であるはずの「優勝争い」は雲散霧消してしまっている。

 ドルトムントのワントップ問題は、もはや今シーズン中には解決しない。そしてこの問題は尾を引いて、来シーズンの行方を握っている。ディ・サントか、誰か。そしてクロップが監督である限り、その選択は、ドルトムントの未来をも左右する。

【了】

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