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去りゆく指揮官に万雷の拍手を。“本物の愛”を持つクロップがドイツ人の感情を動かす理由とは

15日、ドルトムントのユルゲン・クロップ監督が今季限りでの退任を発表した。突然の発表ではあったが、ドイツ国内では驚きを持って伝えられたものではない。しかし、クロップ監督の退任をドイツ各紙は尊敬の念を持って伝えている。

text by 本田千尋 photo by Getty Images

指揮官の退任にドイツ紙の一面を飾る

去りゆく指揮官に万雷の拍手を。“本物の愛”を持つクロップがドイツ人に愛される理由とは
今季限りでの退任を発表したユルゲン・クロップ監督【写真:Getty Images】

 翌日の朝刊には、ユルゲン・クロップの顔が並んだ。フットボールではお馴染みのビルト紙、キッカー紙だけではない。目を移せば、ルールナッハリヒテン紙、ライニッシェポスト紙、スードドイチュツァイトゥング紙…。一般各紙でもボルシア・ドルトムントの指揮官を7年に渡って務め上げたクロップの姿が一面を飾っている。

 15日の記者会見で、クロップは辞任を発表した。それはいささか不意打ちのようにも感じられたが、16日付のドイツ各紙には、驚きのようなものはない。来るべき時が来た、そういったところだ。

 今シーズンのドルトムント、つまりクロップのフットボールが行き詰っていたことは、誰が見ても明らかだった。ブンデスリーガの各チームは、既にそのスタイルを知り、十分に戦略を練った上でドルトムントに挑んできた。

 相次ぐ負傷離脱者といった不運に悩まされたところもあったが、こちらの戦術を封じようと徹底する対戦相手の前にドルトムントはもがき苦しみ、一時は最下位にまで転落してしまう。クロップは昼夜問わず頭を悩ませ、何とか知恵を振り絞り、現在ドルトムントは降格の危機を脱して、ようやくブンデスリーガで10位に付けている。

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