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久保くんに続き中井くんも? “流出した逸材”が帰国へ。どう守り育てるのか…問われる日本の育成法

text by 山本美智子 photo by Getty Images

「抜け穴」を利用してきた欧州クラブ

 FIFAは、原則的に18歳に満たない外国籍の未成年選手の移籍は禁止しているが、三つの例外がある。

1)両親がサッカーとは関係ない理由で、国外に住居を移す必要があり、そこに移籍先のクラブがあった場合
2)EU国内での移籍であり、選手の年齢が16歳から18歳までの場合
3)選手が国境から50キロ以内に住んでおり、隣国の所属クラブもまた、同じ国境から50キロ以内にある場合だ。

 2番目、3番目は、EU国内の場合に限られるケースなので、今現在、日本人選手に適用されることは殆どない(将来的には、このケースに当てはまる日本人も出てくるだろうし、欧州でプレーするために日本国籍を捨てる選手も出てくるかもしれない)ため、ここで問題になっているのは1番目のケースだ。

 久保くんの場合は、まさに、この1番目の条件でひっかかったわけだが、この「抜け穴」はFCバルセロナに限らず、あらゆるクラブチームが殆ど慣例的に利用してきたものだ。

 バルサユースにいたセスク・ファブレガスが16歳でアーセナルに移籍した時に、アーセナルがロンドンでまず、両親の就労先を用意したというのは有名な話だし、スペインに限らず、そういった例がないクラブを見つける方が難しいというのが現実だろう。

 中井くんの場合は、2012年に日本で開催されたサッカーキャンプで頭角を現し、その翌年、現地でテスト研修を受けて合格。レアル・マドリーユースへの入団が決まったわけだが、まずFIFAの大前提として、上記にあげた例外を除き「18歳に満たない外国人籍の移籍自体が認められていない」のである。

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