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対照的なキャリアを歩んだジェラードとランパード。今季プレミアを去る2人のレジェンドに送る“ラスト・トリビュート”

text by 山中忍 photo by Getty Images

チェルシーではあらゆるタイトルを獲得したランパード

対照的なキャリアを歩んだジェラードとランパード。今季プレミアを去る2人のレジェンドに送る“ラスト・トリビュート”
チェルシーで国内外のタイトルを獲得したフランク・ランパード【写真:Getty Images】

 一方のランパードは、2連覇を含む3度のリーグ優勝を経験している。CLを含む国内外主要タイトルを総なめにしたチェルシーには、ウェストハムからロンドン市内で東西の境を越えてやって来た。昨夏のシティ入りも、チェルシーとの契約満了後とはいえ、国内ライバルへのまさかの入団だった。

 東ロンドン郊外で生まれたランパードにとっては、ウェストハムが地元クラブ。父親が現役時代を過ごしたクラブでもあり、96年に1軍入りした当時の監督は、叔父のハリー・レドナップだった。だが、その血縁が当人にとっては仇となり、ファンの間で「えこひいき」の声が絶えない中で「越境移籍」を決めた。

 傑出した若手有望株でなかったことは事実だ。ウェストハムのユースには、個人技の高さで「至宝」と呼ばれたジョー・コールがいた。1100万ポンド(約20億円強)での移籍には、当初チェルシーファンの間でも「高すぎる」との声があった。だが、そのチェルシーではクラブ歴代得点王として「伝説」を築き、自ら西ロンドンを「故郷」と呼ぶに至る13年間を過ごすことになった。

 04年に就任したジョゼ・モウリーニョ監督に「お前は世界最高のMFだ」と発破を掛けられて生来の努力家が更に意欲を増したことと、1トップに早めに当ててためを作る攻撃が中盤からの攻撃参加に向いていたこともあるが、MFでありながら記録したクラブ史上最高の通算211得点は、シュートは左右両刀の得点能力と、チャンス到来を察知する得点感覚の成せる業だ。

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