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【米国記者の視点】汚職にも改革を拒否したサッカー界、日本もその一端に。今こそ声を上げるべきファンの主張

text by ダン・オロウィッツ photo by Getty Images

「アリ王子への投票が多かったのは、FIFAに対する批判票」

【米国記者の視点】汚職にも改革を拒否したサッカー界、日本もその一端に。今こそ声を上げるべきファンの主張
JFAの大仁邦彌会長【写真:Getty Images】

 しかし、ブラッター氏の世界中に競技を広めた献身的な人物としてのイメージや、「許すが忘れない」と言い放つマフィアのゴッドファーザーのようなイメージを信じるかどうかは別にしても、フットボールファンであれば、ブラッター氏自身の問題だけではなく、同氏に5度目の選任を許した133の投票についても疑問視するべきである。

 この数字の中には、選挙前に公の場でブラッター氏を支持した大仁邦彌会長を代表とする日本サッカー協会(JFA)も含まれているかもしれない(選挙後も同会長は投票先を公表していない)。

「世界、アジア、日本にとって何がベストかを考えた。アリ王子への投票が多かったのは、FIFAに対する批判票」と語った大仁会長のコメントは、できるだけ最小限に真意を伝えようと試みていた。

 ブラッター氏の米国、イングランド、そして反対勢力に投票した欧州各国に対する辛辣なコメントの数々を追っていくと、大仁会長が沈黙を貫いたことは慎重だったかもしれない。しかし、2050年までに2度目のW杯開催の目指す日本にとって、公然に改革への支援を拒否するような判断は危険なものになりかねない。

 ブラッター氏がアジアのフットボールを拡大させることについて話しているのは、資金力のある西アジアからの要求に応えるためというのが現実だ。

 タイやベトナムのような新興国を含む東南アジアは、八百長、不十分な施設、平均以下の育成でまだまだ強固とは言えず、またFIFA執行委員会が来月に迫るW杯2次予選でインドネシアに出場停止処分を下した決定は、その地域が汚職を根絶させる努力が不足している象徴でもある。

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