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長友佑都 9年前

長友の移籍はなぜ決まらないのか? 錯綜する報道、不明瞭なマンチーニの“思惑”

text by 神尾光臣 photo by Getty Images

愚直にアピールを続ける長友

長友の移籍はなぜ決まらないのか? 錯綜する報道、不明瞭なマンチーニの“思惑”
インテルのロベルト・マンチーニ監督【写真:Getty Images】

 さしあたり現時点ではっきりしているのは、残念ながらインテルではロベルト・マンチーニ監督の構想に入っていないということと、そんな状況でも長友が愚直にアピールを続けていたということだ。

 サイドハーフにボランチ、あるいはトップ下。練習試合ではポジションをあちこちたらい回しにされたが、その一つ一つに真剣に取り組んでいたことはパフォーマンスから伝わった。ダッシュは鋭く、コンディションの向上は目にも明らかだし、与えられた場所で結果を出そうともしていた。

 途中出場から右サイドハーフとして起用された8日のA.ビルバオ戦では、鋭い右のアーリークロスで得点を演出する。

 また12日の親善大会トロフェオTIMミラン戦では、アディショナルタイム3分間の出場で3度ゴール前に飛び出し、オフサイドでゴールは取り消しとなったがGK強襲のシュートまで放っている。

「自分のやれることは全てやったんで、この1ヶ月何の悔いも残っていない」

 充実具合は言葉通り。メルカートがどういう展開になろうとも、この努力はなんらかの形で結実するだろうし、そうであってほしい。

 それにしても、マンチーニ監督の人選は不明瞭だ。新加入のマルティン・モントーヤはプレシーズンの段階で主力から落とし、長友はもちろんダニーロ・ダンブロージオも構想から外した。そのくせ練習試合で戦術は固めず、3-5-2や4-4-2など現状ではどう考えても彼らがいないと成り立たないようなシステムも試している。

 マンチーニはもっといい選手を獲得してもらう腹づもりなのだろうが、「新選手は放出をしてから(アウシリオSD)」という状況では確証もまたないわけだ。

 放出やウイングの補強がうまくいかなくなった末、結局長友は手元に残り、そのままなし崩し的にサイドハーフのいち選択肢に――。今の調子では、こんなドタバタ(?)な顛末も十分起こりうると個人的には思っているのだが…。

【了】

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