フットボールチャンネル

堕落するマルセイユ。低迷する順位、ファンの暴動…かつての英雄に浴びせた非道なバッシング

text by 小川由紀子 photo by Getty Images

試合は一時中断。試合に水を差したサポーターの愚行

堕落するマルセイユ。低迷する順位、ファンの暴動…かつての英雄に浴びせた非道なバッシング
マルセイユサポーターはリヨン戦で暴徒化【写真:Getty Images】

 約25分後に試合が再開されてから終了までの30分は、両軍ともに熱のこもったプレーを展開し、今夏加入した20歳のオランダ人DFレキクが右CKをヘディングで押し込んでホーム側に貴重な同点打を献上すると、1-1のドローで両者が分け合った。

 この状況の中、マルセイユもリヨンも、集中を切らさず最後まで白熱したパフォーマンスを見せたのは立派だった。標的にされたバルブエナも、さすがの強心臓。ゴールチャンスにつながるパスワーク、そして何より、チームを盛り立てるエネルギッシュなプレーでリヨンの面々をメンタル的にも支えた。

 …と、ピッチ上の選手たちが誇らしいパフォーマンスを披露しただけに、サポーターの愚行が残念でならないのだが、16位という彼らにとってありえない順位でリヨン(8位)を迎えるなどということになっていなければ、バルブエナへのバッシングも違ったものになっていただろう。

 この試合のためにクラブ側は、通常の5倍である750人の警備員を配置し、地元警察へ要請してスタジアム周辺のパトロールも強化した。この日の警備だけで、およそ4000万円という莫大な費用を投じたという。

 しかしそれでも間に合わず、試合中も紙くずやビール瓶がピッチに投げ込まれ、発煙筒が焚かれ、その後のビデオ調査で身元が確認された10人が現時点で逮捕されている。クラブ側も責任を問われて、スタンドの一部閉鎖や罰金といったペナルティを課されることになる予定だ。

1 2 3 4

KANZENからのお知らせ

scroll top