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48歳の新たな挑戦。アスルクラロ沼津で電撃復帰の中山雅史。“熱き魂”の近況に迫る

text by 藤江直人 photo by Getty Images

テーピングが痛々しく…。万全ではないひざの問題

「悔しい、のひと言に尽きますよね」

 試合後に特別に設けられた記者会見。複数のテレビカメラに囲まれたひな壇で、中山が開口一番に発した「悔しい」には、さまざまな意味が込められていたはずだ。

 まずは逆転負けを喫したことに対して。次にベンチ外となり、ピッチの上でチームの力になれなかったことに対して。何よりも、はやる気持ち通りに動いてくれない体に対して。

 記者会見に先駆けて、中山はベンチ外となった他の選手たちに課された練習に参加している。スパイクを履かずにストレッチと軽いランニングを終えると、一人だけピッチの外に出てきた。

 両ひざに巻かれた黒いサポーターのうち右を外し、4人が帯同する専属トレーナーの1人がひざの裏のマッサージを始める。すると、メインスタンドにいた男性がこんな大声を飛ばした。

「中山さーん、足は大丈夫?」

 すかさず右手の親指を立てて「問題なし」を伝える。しかしながら、2012年シーズン限りで第一線を一度退く原因となった右ひざは、幾重ものテーピングが痛々しく施されていた。

 おそらくは左ひざのサポーターの下も、同じような状態になっているはずだ。それでも、マッサージを終えた中山はスパイクを履き、居残ったファンやサポーターの声援を受けながら再びピッチに入る。

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