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48歳の新たな挑戦。アスルクラロ沼津で電撃復帰の中山雅史。“熱き魂”の近況に迫る

text by 藤江直人 photo by Getty Images

伝授される熱き魂。好影響は選手にも波及

 ソニー仙台戦後の練習は、1時間以上に及んだ。個人の居残り練習になると、中山は3人の若手選手に対して、身振り手振りでゴール前におけるウエーブを描く動き出しを伝授している。

「練習のための練習ではいけない。あくまでも試合のなかでどのように動き、どのように考えて裏を取ってゴールに結びつけるのか。それらを少しでも自分の経験から伝えられれば、と思って言ったんですけどね」

 魂が伝授される光景に、山本代表も目を細める。

「選手は中山選手をすごく歓迎しているようなんです。練習に対する姿勢や準備などを見て学ぶこともたくさんあるでしょうし、実際、彼は常に大きな声を出して練習を盛り上げてくれる。

 ムード作りという意味でも非常に上手いんですね。加えて、いままで培ってきた経験を伝えてくれることで、チーム及び個人が成長できる場になっていると思っています」

 来シーズンのJ3に参入する成績面の条件を満たすためには、JFLの年間総合順位で4位以内に入ると同時に、Jリーグの百年構想クラブのうち上位2位に入らなければいけない。

 ソニー仙台に逆転負けを喫したことで、アスルクラロは年間総合順位で6位に後退。百年構想クラブ内ではヴァンラーレ八戸、鹿児島ユナイテッドFC、奈良クラブに次ぐ4位となっている。

 照準にすえるのは年間総合順位で4位の鹿児島。勝ち点差は「8」で、直接対決もすでに終えている。崖っぷちに追い込まれた状況で、何とかチームに力を与えたいと中山の口調は熱さを帯びる。

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