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代表 9年前

イタリア代表、コンテが見せた変化。不安要素は抱えるも…紆余曲折を経て確立した攻撃スタイル

text by 神尾光臣 photo by Getty Images

人材豊富なウインガー陣。かつての弱みはストロングポイントに

イタリア代表、コンテが見せた変化。不安要素は抱えるも…紆余曲折を経て確立した攻撃スタイル
両サイドを結成するカンドレーバ(左)とエル・シャーラウィ(右)【写真:Getty Images】

 端的に言えば、プレスからのワイドな速攻。さすがに最終ラインは極端に上げないものの、3ラインをコンパクトにして高い位置でボールを奪う。そしてFWがワイドに広がり、相手のDFラインを押し下げながら縦に速い攻撃を仕掛けるのだ。1ヶ月前のマルタ、ブルガリアの2連戦では3トップが、そして10日のアゼルバイジャン戦では、実質4トップともいうべき布陣が試されていた。 

 ユーベ時代は3バックを駆使したコンテ監督だが、本来彼が好むシステムはサイドハーフをFW同様の高い位置に張らせた4-4-2だ。そしてそれは機能し、クロアチアやノルウェーをスコアレスで抑えたアゼルバイジャンのホームで相手を支配、そして3ゴールを奪った。

 その中枢となったのは、パリ・サンジェルマンでも活躍中のマルコ・ベラッティだった。彼は代表でも急速に安定感を増し、中盤の粘り強いボール奪取から長短のパスを正確に供給。美しい縦パスでエデルの先制点をアシストし、2点目も起点となる。2枚の中盤でコンビを組んだマルコ・パローロも攻守に安定したプレーを見せた。

 そして、攻撃の要となったウイングたちもまた良いプレーを見せた。右はクロス職人のアントニオ・カンドレーバが躍動し、そして左では遅ればせながらステファン・エル・シャーラウィが代表でやっと真価を発揮。ドリブルでの切り崩しや裏への飛び出しで、チャンスメイクのみならずゴールにもきっちり絡んでいる。守備の意識の高い両者は、献身的な上下動で組織のバランスもうまく取っていた。

 ウイングには他にも人材が育ちつつある。アゼルバイジャン戦では、故障しなければナポリで絶好調のロレンツォ・インシーニェが先発濃厚とも言われていた。戦術理解力が高く運動量もあるアレッサンドロ・フロレンツィは、左右両方で機能できる。今後も成長次第では、サッスオーロの天才ドメニコ・ベラルディも食い込んでくるだろう。少し前は人材難と言われたポジションは、ストロングポイントにもなりそうだ。

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