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EURO2016 9年前

EURO予選で起きた6つの出来事。“小国”の躍進、トルコに起きた奇跡…暴動による悲劇も

text by 編集部 photo by Getty Images

4.各地で起きた観客の暴動。代償は勝ち点をマイナスされた代表チームに…

EURO予選で起きた6つの出来事。“小国”の躍進、トルコに起きた奇跡…暴動による悲劇も
暴動したセルビアサポーター【写真:Getty Images】

 国と国の威信を懸けた熱い戦いを見られるのが代表戦の醍醐味ではあるが、特にそれは誤った方向に向かってしまうことがある。

 グループI第3節、セルビアがアルバニアをホームに迎えた一戦でそれは起きた。一部のアルバニアサポーターが「大アルバニア主義」を掲げたラジコンヘリをピッチ上に飛ばしたことを発端に、選手とサポーターが入り混じる乱闘騒ぎに発展。試合は30分間の中断ののちに主審が続行不可能と判断し、打ち切りとなった。

 もともとは、セルビアから独立したコソボをアルバニアが支持したことから両国の関係性が悪化(コソボのおよそ90%はアルバニア系)したことが背景にある。

 UEFAはこの試合を没収試合とし、セルビアの3-0勝利および勝ち点3の剥奪(実質の両者勝ち点なし)、両国サッカー協会への罰金を命じた。しかし、その後スポーツ仲裁裁判所(CAS)は、セルビアのサポーターがアルバニア選手に暴力行為を行い、発煙筒の投げ込みなども発覚したことから処分を変更。アルバニアの勝利に加えて、セルビアから勝ち点3を剥奪した。

 暴動事件はこれだけではない。イタリア対クロアチアの一戦で、クロアチアサポーターがスタジアムに発煙筒を投下。さらに、警察官に対しても暴力行為を行ったことで、UEFAはクロアチアに勝ち点-1の処分を下した。

 モンテネグロ対ロシアでは、モンテネグロサポーターが投げ込んだ発煙筒がロシア代表GKイゴール・アキンフェエフの頭部を直撃し、試合は中断。この直前にも暴動があったことから、ロシアの3-0勝利という結果が下された。

 上記以外にも、勝ち点や試合結果に反映されていない暴力行為はEURO予選を通じて何件か起こっている。クロアチアは最終節で何とか2位を確保できたものの、処分がもう少し重ければ本大会行きを逃していたかもしれない。

 セルビアとモンテネグロは早々に予選敗退が決まっていたが、処罰がなければもう少し善戦できたはずである。この罰則が、後の試合を戦う選手たちのモチベーションに影響していたことは間違いない。

 ピッチ内で戦う選手に反し、政治的主張によってサポーターが暴徒化することで被害を受けるのは自らの母国である。しかし、残念ながらこのような事件はなかなか絶えることはない。フットボールの世界から、暴力行為がなくなることを願うばかりだ。

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