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6千人本拠地に予算4億円。それでもエイバルが好調な要因と乾がクリアすべき壁とは?

リーガエスパニョーラ第8節、乾貴士の所属するエイバルはホームでセビージャと対戦。昨季のヨーロッパ・リーグ王者を相手に1-1で勝ち点1をつかんだ。チームの技術的な質は、ヨーロッパトップリーグのものではないものの、今季開幕から好調をキープ。その要因を探る。

text by 海老沢純一 photo by Getty Images

平均パス成功率はリーグ断トツ最下位の68%

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エイバル【写真:Getty Images】

 昨季20チーム中18位。本来であれば、今季を2部リーグで迎えるはずだったエイバル。しかし、13位のエルチェが経営面の問題で2部降格処分となったことから、繰り上げで残留。その“棚から牡丹餅”ともいえる幸運に恵まれたクラブに乾貴士が加入した。

 しかし、新シーズンでの戦いを幸運で乗り切れるほど甘い世界ではない。スタジアムの収容人数は6267人で年間予算は約4億円。バルサやマドリーのみならずバレンシアやアトレティコでも1人の主力選手も雇えない台所事情だけにシーズン前の予想では、やはり降格の有力候補ともいえる存在だったはずだ。

 ところが、グラナダとビルバオを相手に開幕2連勝を遂げ、第7節を終えた時点で3勝2分け1敗の勝ち点12で7位、10得点6失点の得失点差プラス4は十分に好発進といえるだろう。

 ただ、試合内容を見ると選手の質は決して上手いとは言えない、というより一言に“下手”と言い切れるものだった。

 チームの今季のスタッツを見ると、パス成功率は断トツで最下位の68%。その上がグラナダ、ビルバオ、ビジャレアル、レバンテの74%であり、トップがレアル・マドリーの88%であることからも、この68%は極端に低い数字だとわかる。

 さらに平均の支配率も45%で最下位であり、今回セビージャをホームに迎えた一戦でも支配率38.9%にパス成功率66%と実に苦しい数字となっていた。金銭事情にしろ、選手の技術的な質にしろ、欧州4大リーグのトップディビジョンで戦えるような状態ではない。

 それでも結果は1-1。セビージャが今季2勝2分け3敗の勝ち点8で12位、7得点11失点で得失点差マイナス4だとしても、昨季のヨーロッパ・リーグ王者を相手に勝ち点1は十分な成果だろう。

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