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Jリーグ 9年前

【英国人の視点】「戦うことすらせずに…」。初降格の清水、破滅への道を辿った1年半

text by ショーン・キャロル photo by Getty Images

ゴトビ前監督の解任後に獲得した勝ち点は…

 試合を終えた時点では降格は数字的に決定しておらず、夜の試合でアルビレックス新潟が松本山雅FCに2-0の勝利を収めるのを待つ必要があったが、もはや終戦を迎えたことは誰もが理解していた。

 選手たちは涙を流し、ピッチ上に倒れ込む。「俺達には清水しかない」の横断幕の後ろに集まったサポーターからのブーイングと野次に対し、クラブ関係者が力なく謝罪を行う。だが、この結果に驚きを感じている者はほとんど誰もいなかったようだ。

 実際のところ、悪循環はずっと前から始まっていたのだから。昨年7月に大榎の前任者アフシン・ゴトビが解任された時点からだ。

 さらにその前にチームを率いていた現ガンバ大阪の長谷川健太監督は、エスパルスを毎年のように6位以内でフィニッシュさせることに成功していた。イラン系アメリカ人のゴトビ監督はそこに上積みをできたわけではないが、堅実に中位の結果を残していた。

 その彼がデスクを片付けて去るよう命じられたのは2014年、17試合を終えて勝ち点21で12位に位置していた時のことだ。その1年半後、チームは31試合で同じだけの勝ち点しか獲得できず降格が決することになった。

「戦うことすらせずに降格したくはないよね」とピーター・ウタカは、仙台との試合を終えたあと気落ちした様子で口を開いてくれた。

「ホームゲームというのは、自分の家族や自分のファンの目の前で全てを懸けて戦うものだ。ナーバスになっている選手が多くて、プレッシャーを感じ過ぎていた。それが試合に表れてしまった」

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