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Jリーグ 8年前

曹監督だけでなく――。J1残留後、眞壁会長のほおを伝った熱い涙。クラブ存亡をかけた湘南15年の軌跡

text by 藤江直人 photo by Getty Images

「僕にとっての『金八先生』」。高山が語る曹監督

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高山薫【写真:Getty Images】

 クラブ史上に残るアニバーサリーで、育成組織からトップチームの主軸へと成長を遂げた2人が得点者として名前を刻んだ。試行錯誤を繰り返しながら歩んできた道は、決して間違っていなかった。艱難辛苦の軌跡が、走馬灯のように脳裏を駆け巡っていたのだろう。

 味の素スタジアムのメインスタンド下の取材エリア。メディアに囲まれた眞壁会長の言葉が小刻みに震え出し、やがて涙ともに途切れ出した。

「本当に今日の永木たちのプレーを見ていると、もっともっとクラブとしてしっかり支えてあげなきゃいけないなと。来年またJ1でできるので…もっと、もっと選手が夢をもてるクラブとリーグであってほしいと思う。

 本当に曹をはじめ、選手には感謝しています…ただ、感謝だけでは申し訳ない。湘南というクラブのためにまだできていないことがたくさんあるので、体を張って…」

 フロンターレのジュニアユースで曹監督の指導を受けたMF永木亮太とFW高山薫は、フロンターレのユース、大学の7年のブランクを経て、再び曹監督を慕ってベルマーレの一員になっていた。

 中学時代に受けた曹監督の熱血指導を振り返りながら、高山はこう語ったこともある。

「いまでも僕にとっての『金八先生』なんです」

 2010年シーズン、2013年シーズンに続く3度目の正直で勝ち取ったJ1残留は、ときには暗中模索しながら、必死に追い求めてきた湘南ベルマーレのアイデンティティーが体現されたものでもあった。

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