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相性の良さ感じさせたボランチコンビ。攻守に補完し合った柏木と長谷部

text by 編集部 photo by Getty Images

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柏木陽介【写真:Getty Images】

【日本 3-0 シンガポール 2018年ロシアW杯アジア2次予選】

 “走るファンタジスタ”が、日本代表でその能力を発揮した。

 10月の中東2連戦で、約3年半ぶりに日本代表入りを果たした柏木陽介は今回も引き続きハリルジャパンに選出された。メンバー発表会見でヴァイッド・ハリルホジッチ監督は、「彼のような能力は数少ない。たくさんのアイデアを持っている」と期待をこめていた。

 そして、迎えたシンガポール戦。柏木は先発出場し、勝利に一役買った。ピッチの各所に顔を出してはボールの循環をスムーズにし、精度の高いキックでチャンスを作っていった。

「相手を寄せるパスと裏に出すパス、サイドに散らすパスというのを自分の中で良く選んでプレーできた」と、自身のパフォーマンスに一定の満足感を得ているようだ。

 ダブルボランチを組んだ長谷部誠も「彼はボールを触っていいパス出しできる選手」と、柏木の長所を理解している。この日のシンガポールの重心はあくまで後ろにあり、失点しないことを第一に考えていた。そのためゴール前は混み合っていたが、ボランチのところでは柏木と長谷部が自由にボールを保持できた。

 前半には、長谷部が上がった際に柏木がタイミング、スピード共に絶妙なパスを通し、ボランチの相方を前向きにプレーさせたシーンがあった。後半にも何度か長谷部が前線へ飛び出せば、柏木がバランスをとっていた。

 もちろん、ひとりが上がればもうひとりが残るのは当然だが、互いを補完しあう関係は相性の良さを感じさせた。また、長谷部は守備者として水準以上のプレーを見せるが、柏木も積極的に相手と“戦った”。

「切り替えてボールを奪いにいくところも自分の中でできたし、球際も今日は勝てたんじゃないかと思う」と口にすれば、長谷部も「球際とか守備の部分でかなり貢献していたと思う」と柏木の献身を評価していた。

 相手との実力差を考えれば諸手を挙げて喜べることではないが、柏木がすんなりとタクトを握り、長谷部が隣でサポートする。守備では互いに戦う姿勢を貫いた。このポジションも人材豊富で、今後も様々な組み合わせが試されるだろう。それでもこの日、柏木と長谷部が見せたスムーズな連係は、ハリルジャパンにおけるダブルボランチの基準となるのではないか。

【了】

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