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日本代表 8年前

【識者の視点】柏木がもたらした攻撃のリズム。見直される“クリエイティブなボランチ”の存在意義

text by 河治良幸 photo by Getty Images

柏木の台頭で見直されるクリエイティブなボランチの存在意義

【識者の視点】柏木がもたらした攻撃のリズム。見直される“クリエイティブなボランチ”の存在意義
シンガポール戦は代表に入らなかった柴崎岳【写真:Getty Images】

 主に攻撃の組み立てを司りながら、守備のオーガナイズも担える柏木の特徴は今季の浦和レッズでも示されているが、改めて柏木の様な選手が日本代表のボランチに入った状態を見てみると、縦に速いサッカーという明確な基本コンセプトがある中でも、やはり常に広い視野を確保し、状況を考えながら攻撃を組み立て、ゲームをコントロールできるプレーメーカーの重要性が問われてくる。

 日本代表では遠藤保仁が長らくその役割を担ってきた。ここ最近は柴崎岳の台頭が期待されたが、多彩なキックやポジショニングのセンスなど非凡な能力を随所に見せるものの、周りの選手の特徴を活かす気の利いたパスを通すなど、いい意味で余裕を出せていなかった。

 その柴崎が今回はメンバーから外れたわけだが、クラブで経験を積んだ柏木が代表に復帰してきたというのは最終予選を目指す中で非常に意味のあることだ。

 よりプレッシャーの厳しい相手との戦いが想定され、指揮官がさらにテンポのあるパスワークや縦の狙いを打ち出していく中で、柏木がどういう位置付けになっていくのか。対戦相手によってはディフェンシブなボランチを二枚並べる布陣や中盤を1ボランチにした4-1-4-1や4-3-3もオプションになりうるが、シンガポール戦での柏木の機能ぶりがプレーメーカーの存在意義を改めて示したことは間違いない。

 ロシアを“W杯のラストチャンス”と位置づける柏木がハリルJAPANの攻撃にリズムやアクセントをもたらすプレーメーカーとして存在感を出していけば、指揮官がそうしたタイプの重要性の認識を強めることで、Jリーグからも新たな候補が浮上するだろうし、柴崎など若手も含めたクリエイティブな競争が生まれてくるはずだ。

【了】

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