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EURO2016 8年前

ドイツ代表、欧州王者への道のりは決勝の地から。期待背負う19歳、有望株の長所は“鈍感力”

text by 本田千尋 photo by Getty Images

注目される19歳の有望株。長所は“鈍感力”

ドイツ代表、欧州王者への道のりは決勝の地から。期待背負う19歳、有望株の長所は“鈍感力”
19歳の有望株、シャルケのリロイ・サネ【写真:Getty Images】

 そして最大の注目株が、リロイ・サネだ。注目株は、有望株と言い換えても良いかもしれない。レーブはサネについて「今シーズンのポジティブな現象」と捉えている。

「彼はスピードに溢れ、確かな技術を併せ持ち、1対1を厭わない。我々は彼の中に巨大なポテンシャルを見ている」

 12日付の『キッカー』誌は、フランス戦において、早くもサネを右SHでの先発を予想する。実現すれば、来夏の決勝の地となるスタッド・ド・フランスでの代表デビューとなるが、サネは動じないだろう。シャルケのユースでサネを指導したノルバート・エルガートは、11日の『シュポルトビルト』誌で次のように述べている。

「リロイ(・サネ)はとても良い性格で、全くもって分別のある若者だよ。彼のとても良いところは無頓着なところだね。この点において、マヌエル・ノイアーを思い起こさせるよ。その人間性で重圧や緊張をやり過ごすんだ。リロイもまた、将来的にはプレッシャーといった類のもの全てをはねつけることを望んでいるよ」

 つまり、ある種の鈍さのようなものが、サネの長所と言えるだろう。ポテンシャルがありながら、ここぞというときに力を発揮できない選手も少なくはない。その点、サネは8日に行われたドルトムントとのレヴィアダービーにおいても、フンテラールの同点弾をアシストするなど力を発揮している。決してダービー特有の雰囲気に呑まれることなく、「巨大なポテンシャル」を証明してみせた。

 今回は19歳で飛び級のような形で選出されたが、サネは「何か物事が早く進み過ぎているとは思わない」と堂に入っている。ドイツ代表での最初のトレーニングは「もちろん少しばかりナーバスだった」ようだが、サネは「いつも物事を起こったとおりに捉える」のだそうだ。

 ドイツ代表でも、サネは鈍く自然体である。

 果たしてフランス代表戦でのデビューはあるだろうか。スタッド・ド・フランスでも、ピッチに立てば、サネは持ち前の“鈍感力”を発揮するだろう。

【了】

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