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途中出場で予選新記録。本田が示した新たな可能性といまだ不可欠な存在価値

text by 編集部 photo by Getty Images

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本田圭佑【写真:Getty Images】

【日本 2-0 カンボジア 2018年ロシアW杯アジア2次予選】

 62分、ハリル体制の初戦チュニジア戦以来、東アジア杯を除けば9試合ぶりに先発から外れたFW本田圭佑が宇佐美と交代でピッチに入った。

 10年南アW杯以降、日本代表の中心として君臨し続けてきた本田だが、今では所属するミランで苦しい時期を過ごしている。

 セリエAは12節を消化したが、本田の先発出場はわずか4試合。「後半少ない時間しかチャンスを与えられない。そこでいかに結果を出すか」というように、ここ5試合では計35分しか得られていない。

 それでも日の丸を背負えばW杯予選4試合連続でゴールを決め、ハリル体制では9試合6得点。変わらず代えの効かない選手としてチームを勝利に導いている。そして試合終了間際にはDF藤春のクロスに頭で合わせて得点をゲット。W杯予選新記録となる5戦連続ゴールを達成し自らの存在価値を示した。

 本人は試合後に「意外ですよね」と素っ気なく語ったが、「今日の課題は明らかに前半の戦い方でしょうね」と自らが不在のピッチを指摘。冷静に戦況を見極めたことが得点につながったといえるだろう。

 それは本田が「この状況を迎えているのは世界でただ1人。考え方で自分の成長率も変わってくる」と語ったことから、ミランでの境遇が生んだ副産物とも考えられる。

 08年に22歳で代表デビューを果たした本田も来年6月には30歳を迎える。世界的に見ても多くの選手は30歳を越えれば長い時間で力を発揮するのは年々難しくなってくる。

 そうしていく中で大多数の選手は代表での居場所を失い、その座を明け渡してく。その一方で短い時間で自身の全てを発揮して貢献し続ける選手も存在する。現在、本田が直面している苦境は長い目で見れば、日本代表の背番号4を1年でも長く攻撃の番号としておくきっかけとなるかもしれない。

 とはいえ、この状況が続けば選手として能力の衰退は避けられず、何よりもまだまだ日本代表はキックオフから本田の力を必要としている。

 試合後、クラブ復帰後の展望について「結果を出さないとダメ。またレギュラー争いが激しくなるが、自分のポジションを奪い取るように頑張りたい」と意気込みを語った本田。

 日本代表は2015年を終えたが、本田の今シーズンの戦いはまだ前半戦。これからミランで勝負を続けるも他クラブへ移籍するも、いずれにしても先発として、中心選手としてプレーできる環境に身を置かなければならない。

【了】

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