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日本代表 8年前

【現場記者の目】岐路に立つハリルJ。抜け出せない3枚看板への依存症…日本代表の未来の行方は?

日本代表は17日、ロシアワールドカップアジア2次予選でカンボジア代表と対戦し、2-0で勝利した。2015年最後の代表戦となったが、試合前にヴァイッド・ハリルホジッチ監督が語った「美しく勝って締めくくる」という言葉とは、大きくかけ離れた内容だった。2015年の戦いを振り返り、日本代表はチームの底上げと若返りを推し進める必要にある。日本代表は今、大きな岐路に立たされているのだ。

text by 元川悦子 photo by Getty Images

ハリルも激高した最悪の前半

【現場記者の目】岐路に立つハリルJ。抜け出せない3枚看板への依存症…日本代表の未来の行方は?
日本代表のヴァイッド・ハリルホジッチ監督【写真:Getty Images】

 12日の2018年ロシアワールドカップアジア2次予選・シンガポール戦から8人ものメンバーを入れ替え、大胆な選手起用で17日のカンボジア戦(プノンペン)に勝ちにいった日本。しかし前半の内容はヴァイッド・ハリルホジッチ監督が激高するほど悪かった。

「足元足元になりすぎてるところがあったんで、もうちょっとボランチあたりから裏を狙ってもよかった」と代表戦初のキャプテンマークを巻いた岡崎慎司(レスター)が反省すれば、前半で交代を強いられた遠藤航(湘南)も「サイドチェンジで横に揺さぶりながらクロスで終わったり、自分がクロスに入っていくことを考えていたけど、うまくいかず、ミスも多かった」とガックリ肩を落とすしかなかった。

 ベンチから見ていた本田圭佑(ミラン)が「幅がなかった。シンガポール戦の前は幅を出して、中に入る時とサイドで起点になる時を使い分けて、センタリングからセカンドボールを中で拾いに行くことをやってきたけど、今回また徹底できなかった」と問題点をズバリ指摘した通り、日本は岡崎と香川真司(ドルトムント)の両エースをスタメン復帰させたにもかかわらず、攻めの迫力を出せなかったのだ。

 後半から長短のパス出しに長けた柏木陽介(浦和)や本田が出てきて、リズムを引き戻し、何とか2点を奪うことに成功したが、FIFAランキング183位の相手に2-0の辛勝は誰が見ても物足りない。試合前日の「年内最後の試合を美しく勝って締めくくる」という指揮官の発言とは、大きくかけ離れたゲームになってしまった。

 実際、2015年の日本代表はアジア相手に同じような苦しみを味わい続けた。1月のアジアカップ(オーストラリア)、6月から始まったロシア大会予選、8月の東アジアカップ(武漢)を通して、自陣に人数をかけて守備を固める相手を攻略しきれなかった。

「こういう相手をとやるのが下手」と本田も歯に衣着せぬ物言いを見せたが、ハリルホジッチ監督がゴールへの解決策として第一に与えたクロス攻撃が的中したのは、今回のカンボジア戦の終了間際に藤春廣輝(G大阪)の折り返しから彼自身が挙げた2点目など数えるほどしかない。

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