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ボルシアMGが示したバイエルン撃破の方法。「冷静さ」を奪うことに成功した積極性

ブンデスリーガ第15節、ここまで14戦無敗の王者バイエルンがボルシアMGによって初の黒星を付けられた。ドイツではこの結果に歓喜の声も少なくない。現在のサッカー界で最も完璧なチームを撃破した戦略とは?

text by 本田千尋 photo by Getty Images

「彼らはとてもアグレッシブに前に向かってプレーする」

ボルシアMGが示したバイエルン撃破の方法。「冷静さ」を奪うことに成功した積極性
14戦無敗の指揮官ジョゼップ・グアルディオラ監督は、ボルシアMGを好んでいた【写真:Getty Images】

 アンチ・バイエルンはどこにでも潜んでいる。2015年12月5日、数時間後にドルトムント戦を控えたヴォルフスブルクのプレスルームで、歓声が上がった。

「Yeah, Ha!」

 宙吊りのモニターの中=オスカー・ウェントがゴールを奪う。54分。ボルシアMGが先制する。ホームで戦っている相手は、バイエルン・ミュンヘンだ。

 14戦無敗の王者を前に、就任後9戦無敗の指揮官アンドレ・シューベルトは宣言する。

「我々は万歳フットボールをするつもりは全くない。だからと言って後方に固く引きこもって、抜け目なく守るつもりもない。ある計画を練り上げているよ。どうやってバイエルンのゴールを脅かすかについてね。ただ守るだけでは、高い確率でバイエルンに負けるんだ」

 ブンデスリーガの第15節で披露されたシューベルトの「計画」は、3-5-2だった。通常の4バックではなく、3バックでバイエルンに立ち向かった。それでいて「後方に固く引きこもって、抜け目なく守るつもり」はない。

 シャカのワンボランチにダフートとジョンソンのMF、ラファエルとシュティンドルの2トップ。そしてコルブとウェントのWBだ。より前方に人数を掛けた3-5-2ということになる。

 14戦無敗の指揮官ペップ・グアルディオラは、そんなボルシアMGを好んでいた。

「彼らはとてもアグレッシブに前に向かってプレーする。私はそんなスタイルが好きだ。シューベルトのような指揮官とグラッドバッハのスタイルはフットボールにとっても良いことだよ」

 そしてボルシアMGは、54分からの15分間でペップのそんな余裕を奪っていった。

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