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ボルシアMGが示したバイエルン撃破の方法。「冷静さ」を奪うことに成功した積極性

text by 本田千尋 photo by Getty Images

磨き上げた守から攻。鍵は横パスではなく縦パス

 試合が始まると、ボルシアMGは「アグレッシブに前に向かって」プレスを掛ける。ラファエルとシュティンドルは、ボアテングとベナティアの2CBを、そしてダフートがワンボランチのアロンソをマークする。ノイアーからのリスタート時に、ほぼマンツーマンで蓋をした。

 ボルシアMGのアグレッシブな3-5-2に苦しみながら、それでも前半の流れはバイエルンにあった。18分、ラーム、ビダル、ミュラーのコンビネーションで右サイドを崩して、レヴァンドフスキのシュートまで持ち込む。ゾマーが防ぐ。19分、コマンが左サイドを突破して折り返す。ビダルがミュラーに繋ぐ。
ミュラーのシュートはゾマーが弾く。

 25分、ゴール前でビダルの折り返しをマルティネスがシュート。ゾマーが弾く。さらにコマンのシュートは、右のバーを叩く。バイエルンは決定機を逃し続けた。決定機を逃し続ければ、流れは相手に傾く。バイエルンとて、フットボールの摂理と無縁ではなかった。

 ボールを奪えば、ボルシアMGは前監督ルシアン・ファブレが磨き上げた守から攻への切り替えで、「アグレッシブに前に向かってプレーする」。ボール奪取時に、横パスではなくて縦パスを選ぶことが多い。

 54分のウェントのゴールを皮切りに、66分にシュティンドル、68分にジョンソンと立て続けにボルシアMGはゴールを奪った。

 試合後にラームは「リードされることに慣れていない」と吐露したが、突き詰めれば、戦略を練り上げて果敢に立ち向かってくる相手に慣れていない、ということなのかもしれない。シューベルトが言及したように、バイエルンに対して多くのチームは引いて固めてくるからだ。

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