日程変更を許さなかったテレビ放送枠の都合
違和感を募らせる矛先は、翌6日の日曜日に行われるJ1昇格プレーオフ決勝にも向けられた。
「プレーオフ決勝を先にやってチャンピオンシップを後にしたほうが、日程面でもいいし盛り上がる」
J1昇格プレーオフの準決勝が行われたのは11月29日。決勝まで中6日もある。12月第1週の週末のカードを入れ替えることで過密日程は劇的に解消されるが、今シーズンに関しては事情が許さなかった。
チャンピオンシップ決勝は第1戦がTBS、第2戦がNHK総合と、ともに地上波で生中継された。Jリーグが獲得を目指すライト層へサッカーの魅力をダイレクトに伝える意味でも、地上波の生中継による露出は必要不可欠となる。
しかしながら、第2戦が日曜日となると問題が生じてくる。NHK総合で生中継するとなると、ナイトゲームならば大河ドラマと、デーゲームならば毎年放送しているラグビー早明戦と時間が重複するからだ。
決勝第2戦の視聴率は10.4%をマークし、広島地区に限れば35.1%という驚異的な数字を叩き出した。合同実行委員会内でも10%を超える数字を残したことで、「1000万人の視聴者が見てくれた」とポジティブにとらえられたという。
延長戦の末にガンバが浦和レッズを下した準決勝も、NHK総合で生中継された。そのときの視聴率5.1%が決勝第1戦の7.6%を経て、右肩上がりの曲線を描いていった理由は明白だ。ピッチの上で手に汗握る死闘を連続して繰り広げた3チームの選手たちの頑張りが、ライト層の琴線にも触れたからに他ならない。
だからといって、これからも選手たちに犠牲を強いていくわけにもいかないはずだ。佐藤が代弁した声に耳を傾けなければいけない。現状に満足することなくピッチで見せるプレーの質やレベルの向上を追求していかなければ、せっかく高まった興味や関心もスポイルされかねない。