PK戦で選手が最も緊張するのはどの場面か? 4つの局面で見るキッカーの心理

試合を引き分けで終え、次のラウンドに進むチームを決定しなければならない場合、PK戦が行われることが一般的になっている。誰かが失敗しなければ終わらないこのデスマッチに挑む選手たちは、どのような心境にあるのだろうか? 12月17日発売の『PK 最も簡単なはずのゴールはなぜ決まらないのか?』(カンゼン)では、PK戦のキッカーになった選手たちがどのようなストレスを受けるのかを分析している。同書より一部抜粋する。(翻訳:実川元子)

2015年12月19日(Sat)8時00分配信

text by ベン・リトルトン photo Getty Images
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PKの心理学を研究テーマに据えたノルウェー人研究者

PK戦で選手が最も緊張するのはどの場面か? 4つの局面で見るキッカーの心理
2004年のEUROでPKを失敗したデイヴィッド・ベッカム[右]【写真:Getty Images】

 ノルウェー・スポーツ科学校でスポーツ心理学を学んでいたゲイル・ヨルデットは、エリート街道を歩む中盤の選手たちの周辺視野について論文を書き上げたところだった。そしてノルウェーのラジオ局、P3に呼ばれてEURO2004のイングランド代表の敗北について話をした。

 ヨルデットは番組で、ベッカムがPKを蹴る前にペナルティスポットをちゃんとチェックしなかったと批判した。ところが共演したヘニング・ベルグはマンチェスター・ユナイテッド時代のベッカムとチームメイトで、ベッカムの精神力は他の選手と同じくらいタフだったとヨルデットを激しく非難した。

 ヨルデットにはそれがひどく堪えて―「自分がマヌケになった気分だった」―1ヶ月後、オランダのフローニンゲン大学に職を得たとき、研究テーマをPKの心理学に変えた。この一件からもわかるように、ヨルデットはタフそうな見かけに似合わず繊細なのだ。

 フローニンゲン大学はオランダサッカー連盟と密な関係にあり、またヨルデットはノルウェーでプレーしていたスウェーデン代表選手数名と知り合いだった。その人脈をもとに、選手がPK戦の最中に何を考えているかを調べるユニークな研究を思いついた。

 PK戦となったEURO2004準々決勝オランダ対スウェーデン戦で、PKを蹴った14名の選手のうち10名と、彼は1対1で長いインタビューを行った。試合は延長が終わった時点で0-0だった。PK戦の1本目と2本目が終わった時点ではどちらのチームも成功し、スコアは2-2だった。

 スウェーデンの3番手のキッカー、ズラタン・イブラヒモビッチは失敗した。その後二人が蹴ったところで、オランダの4番手のキッカーとなったフィリップ・コクーが失敗してまたスコアが3-3のイーブンに戻った。5人ずつ蹴ったところでもスコアはイーブンのままで、そこから失敗したら終わりのサドンデスとなった。

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