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PK戦で選手が最も緊張するのはどの場面か? 4つの局面で見るキッカーの心理

text by ベン・リトルトン photo by Getty Images

PK戦の過程で選手がストレスを感じる4局面

 スウェーデン代表の主将オロフ・メルベリは当時ユベントスでプレーして高評価を得ていた選手だったが、エドウィン・ファン・デル・サールにシュートをセーブされた。次にアリエン・ロッベンが成功させ、オランダは初めて主要大会でのPK戦で勝利した。

 ヨルデットは、PK戦の全過程で感じているストレスと不安を選手たちに最大限正直に描写させることに成功し、発見したことを3つの学術論文に分けてまとめた。その一つ『世界的な大会で感じるストレス、反応と感情:サッカー主要大会でのPK戦に臨んだ経験から』はとりわけ魅力的な論文だ。

 選手にインタビューの目的をはっきりさせる意図から、ヨルデットはPKを4つの局面に分けた(図)。

PK戦で選手が最も緊張するのはどの場面か? 4つの局面で見るキッカーの心理
【図】PK戦でキッカーの不安が高まるとき

1.延長戦後の休憩時間。
2.センターサークルにおいて。
3.ペナルティスポットまで歩いて行くとき。
4.ペナルティスポットにおいて。

 それから選手一人ひとりのそれぞれの局面での反応を査定した。6名の選手が第1局面、延長戦後の休憩に入る前に自分がPKを蹴ると知っていた。うち2名は「自分は蹴りたくなかった」とはっきり言明した。

 1名は「あらかじめ言っておくが、私は個人的には蹴りたくないと最初に言っておいたんだ」とまで言った。もう1名はチームメイトの3名が第1局面で自分を外してほしいとはっきり口に出したことに苛立った。

 4名の選手は何番目に蹴るかを告げられたときに、よりストレスが強まったという。何番手になるか知らなかったために、状況に応じた心構えができなかったからだ、という。ほかの4名は冷静もしくはリラックスした気分で過ごした。

 驚くことに、選手が一番ストレスを感じていたのは第2局面だった。特に負けたスウェーデンの選手たちは、センターサークルでばらばらに立って、お互い話もせず、ひたすら一人でストレスに耐えていた。

「PK戦のときに我々はほとんど話をしなかった」とスウェーデンの1名の選手は言った。「何も話さなかった。私も話さなかったし、他のものも私に話しかけなかった」

 ガレス・サウスゲートもネガティブな考えが自分のプレーに影響したと認めていた。センターサークルで自分のPKのことだけに集中していたと答えた選手は3名しかいなかった。ほかの選手たちは自分の番が近づくにつれて緊張が高まるのを感じていた。

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