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クラブW杯で見せたバルサの強さ、10点も露呈したレアルの問題。圧勝の裏で見えた現実

text by 海老沢純一 photo by Getty Images

急速にアイデンティティーを失うレアル・マドリー

クラブW杯で見せたバルサの強さ、10点も露呈したレアルの問題。圧勝の裏で見えた現実
首の皮一枚で繋がっている状態といえるラファエル・ベニテス監督【写真:Getty Images】

 その隙をラージョが逃さず、ポッカリと空いたクロースの両脇、SBとウイングの間のスペースを使うことでサイドからマドリーを追い詰めていった。その結果、CKとクロスから2点を立て続けに奪って逆転に成功。この時点では、降格圏18位のラージョが完璧にマドリーを上回るパフォーマンスを見せていた。

 インサイドハーフとして先発したルカ・モドリッチが守備のカバーに走ってはいたものの、彼の武器は守備ではない。現在のサッカー界でプレーメイカーとしてトップといっても言い過ぎではない能力を持つモドリッチがここまで力を発揮できないチームは珍しい。

 今後の戦いに向けて、マドリーが注視すべきは9得点を奪った76分間ではなく1-2とされた14分間だろう。

 しかし、現地の報道では首の皮一枚で繋がっている状態といえるラファエル・ベニテス監督だが、明らかにチーム内で求心力を失っている。マドリーがまずやるべきことは、もう一度チームを1つの方向に向けることだが、現状でそれができるだろうか。

 遠く日本の地で濃すぎるまでのアイデンティティーを見せつけたバルセロナ。対してレアル・マドリーは急速にそのアイデンティティーを失っている。

 約1万kmという距離を隔てた場所でともに圧倒的な勝利を手にしたバルサとマドリーだが、その裏には全く異なる現実があった。

【了】

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