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PSG、2位に勝点19差をつけて前半戦を終了。極端な“1強”はどこに存在意義を見出されるか

text by 小川由紀子 photo by Getty Images

ターゲットはもちろんチャンピオンズリーグ

 メッシ、ネイマール、スアレスのビッグ3を擁するFCバルセロナとて、リーガ・エスパニョーラで首位につけてはいるが、2位のアトレティコとは同じ勝点、最下位のレバンテとも勝ち点差は24しかない(ただしバルサは1試合未消化)。

 それがリーグ1では、なんと7位のレンヌがすでに首位のPSGに24点差つけられている。

 PSGが今季1点も奪えなかった相手は、CLで対戦したレアル・マドリーを除けば、アンジェのみ。今季の昇格組ながら現在3位につけるアンジェは結束力抜群のチームプレーが特徴だが、その持ち味がいかんなく発揮されてPSGを零封し引き分けたのは相当立派だったといえる。

 そんなPSGだが、リーグ優勝は間違いないとして、真の目標であるのはチャンピオンズリーグ。決勝ラウンド初戦の相手にはチェルシーを引き当てた。

 チェルシーは、一昨シーズン準々決勝で敗れた相手。このときはホームでの第1レグこそ3-1で勝利したが、敵陣での第2レグでは2-0で敗れ、アウェイゴールの差で涙を飲んだ。

 智将モウリーニョの作戦勝ちとも言える展開だったが、今回「スペシャルワン」はいない。今季のPSGの強みは同じメンバーで数年戦ってきたことで培われたチームプレーにある。ヒディンク監督による新体制下でチェルシーが思う存分力を出し切れない状態だと、今回はパリに分があるかもしれない。

 それに、彼らの目標はベスト8なんかではない。過去3シーズン、超えられずにいたベスト4進出だ。

 その目標達成に向けての補強だが、この冬のメルカートでは大きな動きはありそうにない。ブラン監督も「このメンバーで十分戦える」と、前半戦終了時に話していた。

 今季は怪我で長期離脱する選手もなく、昨季は精神的にも不安定だった主将のチアゴ・シウバも抜群の安定感を発揮している。夏に獲得したアンヘル・ディ・マリアも、序盤こそパフォーマンスに波があったが、やはり巧さが一クラス上。

 クロスやロングパスの精度の高さは言うまでもないが、サイドに開きすぎたときにすかさず中へ絞ってスペースを埋める動きや、相手の虚をついて攻撃の起点となるパスを出せるセンスなどは秀逸。派手さはないが、6得点9アシストと15点に絡む彼が加入したことで、チーム全体のレベルは大きく底上げされた。

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