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本田を意識せず――。星稜快進撃を支える大橋滉平、G大阪での挫折をバネに抱く大志

text by 藤江直人 photo by Yosuke Koga , Hiroyuki Sato

100人をゆうに超える部員による弱肉強食の世界

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前回大会を制した星稜高校【写真:佐藤博之】

 悲願の初優勝を果たした昨年度のチームの主力、MF藤島樹騎也、MF杉原啓太、FW森山泰希はともに名古屋グランパスのジュニアユース出身だった。

 ユースへ昇格する道を閉ざされた3人は、「最後はノリで決めた」と星稜を進路に選ぶ。当時の心境を、藤島はこう振り返ってくれたことがある。

「全国優勝するには、まず全国大会に出なければならない。星稜は毎年のように出場していたので、オレたちの力で優勝して星稜の歴史を変えようと誓い合ったんです」

 しかし、入学して間もなく、甘い考えは吹っ飛ばされる。目の前で繰り広げられたのは、100人を軽く超える部員による弱肉強食の競争世界。藤島の述懐が続く。

「レベルはそれほど高くないと思っていたんですけど、本当に厳しくて。1年生のときにベスト4、2年生のときには準優勝しましたけど、自分と(杉原)啓太は試合に出られなかった。何かを変えなきゃいけないと思いましたし、自分に何が足りないのかをコーチにも聞いて必死に個の技術を磨きました」

 大橋もまったく同じ状況に直面した。前回大会では2年生ながら登録メンバー入りを果たし、ベンチ入りを果たした試合もあったが、ピッチに立った回数はゼロに終わった。

 全国の頂点に立ったことは嬉しい。それでも、自身の軌跡を記せなかったことで、心の片隅に不完全燃焼の思いを抱いたまま大橋は新チームへ移行。自ら志願してセットプレーのキッカーを務めた。

 一方で2014年12月末に助手席に乗っていたワゴン車が交通事故を起こし、緊急手術を受けた関係で前回大会の指揮を執れなかった河崎監督の復帰は、9月上旬にまでずれ込んだ。

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