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仏紙が選んだ重要人物30人。テロ事件、ワイセツテープ問題に揺れるユーロ開催国の「今」

text by 小川由紀子 photo by Getty Images

PSGをビッグクラブへ成長させたアル・ケライフィ会長

仏紙が選んだ重要人物30人。テロ事件、セックステープ問題に揺れるユーロ開催国の「今」
1位に選出されたPSGのアル・ケライフィ会長【写真:Getty Images】

 堂々の首位に選ばれたのは、PSGのアル・ケライフィ会長だ。

 2011年6月にPSGのオーナーとなったカタール・スポーツ・インベストメンツ(QSI)の会長であり、12-13シーズンから4年間、フランスリーグの放映権をも勝ち取ったBeINスポーツ(旧アルジャジーラ・スポーツ)の社長でもある。

 現在42歳の彼がPSG会長職についたのは37歳のとき。

 その頃フランスでは、老舗ホテルやブティックなどが次々にアラブマネーに買収されていて、国民の間にも反感が広がりつつあった。そんな中、サッカーでは決して先進国とはいえないカタールの元テニス選手がフランスを代表するPSGの会長におさまるというのは、相当大胆不敵だった。しかし深刻な経済難にあったクラブにとって、選択の余地はほとんどなかった。

 メディアやサッカー界のご意見番が厳しい視線を送る中、彼はまずレオナルドをスポーツ・ダイレクターに任命して、マテュイディ、モッタ、パストーレ、シリグら実力派選手を集め、12月にはクラブOBのコンブアレ監督を解任して名将カルロ・アンチェロッティを招聘することに成功した。

 翌シーズンにはあのデイビッド・ベッカムをも招き入れて世界中の注目を集めると、19年ぶりのリーグタイトル獲得と結果も出した。イブラヒモビッチやチアゴ・シウバ、ダビド・ルイス、ディ・マリアら、ワールドクラスの選手を次々に獲得し、以降は王座を譲らず、今季も首位を独走している。

 就任時に宣言した「5年間でチャンピオンズリーグ優勝」の期限は今シーズン。それが実現するかはわからないが、今のところ、描いた青写真どおりに確実にPSGを今までにはなかった規模のビッグクラブへと成長させている。

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