日本サッカーの守備に足りない“スペースを埋めようとする感覚”。守備マイスター・松田浩が考えるゾーンディフェンスの極意とは?

日本のサッカーがよりレベルを上げて世界の強豪国となっていくためには、守備面の成熟は必修科目である。このほどゾーンディフェンスの理論・実践に定評のある日本サッカー協会技術委員の松田浩氏との共著で『サッカー守備戦術の教科書 超ゾーンディフェンス論』を上梓した鈴木康浩が日本の守備の課題を分析する。

2016年01月21日(Thu)10時19分配信

text by 鈴木康浩 photo Getty Images
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FWと中盤の間にスペースを空けてしまうJリーグや日本代表の守備

日本サッカーの守備に足りない“スペースを埋めようとする感覚”。守備マイスター・松田浩が考えるゾーンディフェンスの極意とは?
日本サッカー協会技術委員の松田浩氏【写真:Getty Images】

 日本のサッカーシーンでは、守備のブロックをセットしたとき、たとえば、FWの選手が相手のディフェンスラインからボールを奪おうと一人で闇雲にプレッシングを敢行し、あっさりと相手に交わされて、ぽっかりとFWと中盤との間にスペースを空けてしまう、といったシーンが散見される。Jリーグの試合然り、日本代表の試合然り、である。

 このとき、果敢にプレッシングにいって相手に剥がされてしまったFWの選手に、“自らが埋めるべき守備のスペースを空けてしまった”という感覚はあるだろうか。FWのプレッシングの判断がチームの守備のスイッチとなり、あるいは、FWが後ろからの声を頼りに守備のスイッチを入れ、後方の選手たちもそれに連動して前進し、FWがプレッシングによって空けたスペースを無理なく圧縮できればいいのだが、ときにFWのプレッシングの判断が闇雲に過ぎれば後方の選手たちが連動してアクションするのは困難だろう。

 ボクシング・ムーブメント、という言葉がある。ボクシングでパンチを打ったときには、打ちっ放しだとガードの隙を突かれてパンチを打ち込まれてしまうから、すぐにパンチした拳を自分の顔の前へ戻してガードを作る、というアクションの流れを指したものだ。これと同じことをサッカーの守備においても意識する必要がある。ボールを奪いにいく(パンチを見舞う)のならば、同時に、(パンチを見舞ったときに)自身が空けたスペースも管理しようとする意識を働かせなければならない。

 プレッシングしようとするFWに求められるのは、首をふり、後方の味方の位置と、自分との距離感を確認する作業である。たとえば、自分がボールを奪いに行っても後方の選手たちがついて来られる距離感にあるならば、いざプレッシングをスタートする、逆にそのような距離感にない、あるいは、後方の選手たちの守備の準備ができていないようであれば、FWは迂闊にボールホルダーに飛び込まない、といった判断を下せるかどうかの守備の感覚が重要となる。

 そして、いざFWがプレッシングをスタートしたならば、後方の選手たちは、まずボールの位置、次に味方の位置に伴って連動しながらイワシの群れのごとく守備ブロックを移動させて、ピッチ上に余計なスペースを作らないように管理していく――これがゾーンディフェンスで守る際の基本的な考え方となる。

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