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11人対9人でも崩壊しなかった熱戦。バルサが見せた爆発力とアトレティコのクオリティ

text by 海老沢純一 photo by Getty Images

前線からのプレスが効いたアトレティコ

 ベストメンバー11人を揃えたバルセロナの支配力はやはり凄まじく、ルイス・エンリケ監督もこの天王山ともいえる一戦に向けて選手のコンディション面を調整してきたはず。満を持してアトレティコを迎えた。

 ところが、試合が始まるとペースは完全にアトレティコ。グリーズマン&カラスコの2トップがピケ&マスチェラーノのCBコンビにプレスをかけると、バルサは世界屈指だったはずのビルドアップ力が影を潜めた。

 さらに高い位置から仕掛ける左SBのフェリペ・ルイスにボールを奪われ、前線へ飛び出す2列目の選手を捕まえ切れずピンチを招いていた。そして、キックオフからわずか10分、コケのゴールでアウェイのアトレティコが先制点を奪った。

 そもそも、アトレティコはプレス、ショートカウンターという点に関しては世界トップともいえるクオリティを持つチーム。がっぷり四つでぶつかり合った試合の立ち上がりは、アトレティコに軍配が上がった。

 しかし、バルサの強さの1つに試合中の修正力の高さがある。そしてそれは、ブスケツによって取り仕切られる。1点を失った後の15分以降、ブスケツはビルドアップ時にCBの間に入り、3バックを形成。プレスに苦しむ最終ラインをサポートした。

 その結果、最終ラインはアトレティコからのプレッシャーを軽減し、CBのカバー範囲が広がったことで両SBは高い位置を取ることが可能となった。

 ジョルディ・アルバとダニエウ・アウベスの45分間のアクションエリア(ボールを持ってプレーした位置)を見ると、15分まではアルバが自陣で70%、アウベスが同65.22%だったのに対して15分以降はアルバが敵陣で70%、アウベスが同60.53%とほぼ真逆の数字となった。

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