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香川真司 8年前

香川は反省も…内容が悪くとも勝ち切る。ドルトムントが見せた“しなやかな強さ”

text by 本田千尋 photo by Getty Images

「最も重要なことは、僕らが勝ったことだ」

 後半に入って、香川に代わって55分に入ったカストロも「今日はインゴルシュタットがとても、とても良く守った」と舌を巻いた。

「彼らは僕らにほとんどスペースを与えなかったし、90分に渡って息つく間も与えなかったね」

 そうやってインゴルシュタットに苦しみながらも、BVBの監督トゥヘルにはどこか余裕があったようだ。68分にラモスに代わって、トップチームに昇格したばかりのプリシッチを投入する際、次のように言葉をかけた。

「楽しめ。君ならそれが出来る。楽しんでこい!」

 確かにそれは、若者をピッチに送り出す時の常套句だ。それでも、決して優勢とは言えない中で、プロデビューを飾る選手を「楽しめ」という一言で送り出すところに、トゥヘル率いる現ドルトムントの懐の広さが垣間見えるのである。

 そしてBVBは、試合の終盤に2点を奪う。

 77分。ピシュチェクの右サイドからのクロスに、オーバメヤンが頭で合わせる。1-0。

 86分。カストロのラストパスに、オーバメヤンが走り込んで、左足で流し込む。2-0。

 オーバメヤンは言う。「最も重要なことは、僕らが勝ったことだ」

 香川は言う。「こういう試合でしたけど、勝てたことは一番何よりですし、まあでも内容はひどかったので、しっかりと修正して行きたいと思います」

 ドルトムントはインゴルシュタットに2-0で勝利した。綺麗な勝ち方ではなかった。しかし内容が悪くとも勝ち切るところは、今のBVBの“しなやかな強さ”とも言えるのかもしれない。

【了】

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