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本田圭佑 8年前

本田がミランの中心に。噛み合う連携、チームメートも厚い信頼

text by 神尾光臣 photo by Getty Images

本田のパスから始まった攻撃

 前半19分の先制点のシーンは、まさにその象徴であった。後方の味方がボールを奪い攻撃へと切り替えた時、本田は中に絞って中盤に近づいた。それに合わせてパレルモの左SBアシュラフ・ラザールが張り付き、ここで右のスペースが空いた。そしてユライ・クツカからボールを貰った本田はワンタッチでスペースに強めのパスを出すのだが、この意図を読んでいたアバーテがぴたりと走りこんだ。

 そして前方では、FW陣が動き出しを開始。アバーテからアーリークロスが入り、エムバイエ・ニアンがニアで潰れ、その後方でカルロス・バッカが押し込んだ。

 本田のパスで展開のスピードが加速してから、ゴールに到達するまで4人が連動。こういったプレーが今のミランで見られるとは、失礼ながら思わなかった。

 その後も、周囲の選手たちは本田と意図を噛み合わせていた。アバーテの動き出しを見て本田がニアンに縦パスをつければ、ニアンはサイドに叩いてオーバーラップしたアバーテに合わせる。本田がDFを引きつけてスペースを作り横パスを出せば、クツカが素早く走りこむ。本田がDFラインからパスを引き出し、ワンクッションを置いてバックパスを出せば、視野の開けた状態でパスを受けたリッカルド・モントリーボが逆サイドに展開する。周囲の連動により、シンプルなパス出しが次の展開を開くものとして活かされていたのだ。

 前半で2-0とリードを築いたミランは、後半もポゼッションの意識を高めて試合をコントロールする。もちろんここでも本田は引き続き多くボールに触っていくのだが、時間が経つにつれ今までと決定的に違うシーンが見られた。

 中に絞ってDFの間にポジションを取り、後方の味方に要求するとパスが付く。今までならことごとく無視され、地元メディアから「動きの間違い」「中盤を浮遊する幽霊」などと揶揄されたであろう動き出しが、ちゃんと実るのだ。

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