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ブレることなきトゥヘルの哲学。冬の移籍市場、不動の姿勢は来季CLを見据えた布石

text by 本田千尋 photo by Getty Images

「自らの価値を証明してきた選手たちを信頼している」

 それはもう少し俯瞰して見れば、BVBでは既に来シーズンのCLを見据えたチーム作りが進められている、とも言えるのかもしれない。現在は、CLを戦うための土台を固めている段階、ということだ。

 トゥヘル自身は、今冬の新戦力の獲得には消極的だった。そして「私はチームを信頼している。既に自らの価値を証明してきた選手たちを信頼している」と現在抱えている選手たちへの信頼を隠そうとしない。

 現在ドルトムントは、ブンデスリーガで2位を維持しつつ、9日にはDFBポカールで準々決勝のシュトゥットガルト戦、そして18日には、ヨーロッパリーグのラウンド32のFCポルト戦を控えている。

 こうした状況についてトゥヘルは「我々は完璧に満足しているよ。気を緩めることは許されないがね」と述べている。一発勝負のカップ戦では何が起こるか分からないので、2月の終わりに状況が一変している可能性もある。それでもツォルクSDと同様、監督トゥヘルも来季のCLに参戦するために、十分な戦力が揃っていると考えているようだ。

 移籍市場が閉じて一夜明けた2日、ブラッケル練習場で16時から行われたトレーニングで、メニューの中心に据えられたのは、相も変わらず「ロンド」だった。

 雨の降る中、1人が鬼になる4対1の「ロンド」から、チームを2組に分けての「ロンド」、チーム全体での「ロンド」と、淀みなくメニューは消化されていく。光景は前半戦と変わりない。BVBにポゼッションを導入して進化させようとする、トゥヘルの信念が変わらず垣間見えた。

 そもそも、移籍市場では補強を行わなければならないというルールはどこにもない。チームを俯瞰して、動かないこともまた補強ということなのかもしれない。

 来季はCLで戦うために、トゥヘルの哲学がブレるところはない。

【了】

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