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不振のFW、負傷のMF、謹慎処分のDF。チェルシー戦の勝利でPSGは“不安材料”を払拭か

text by 小川由紀子 photo by Getty Images

負傷明けながら存在感を示したヴェッラッティ

 技術力の高さを見せつけたヴェッラッティ
技術力の高さを見せつけたヴェッラッティ【写真:Getty Images】

3.ボールキープ力の向上

 ほぼ同じメンバーで数シーズンを経てきた今季のPSGはオートマチズムの完成度が高い。それはこのCLのノックアウトステージのような大舞台でも十分に発揮されていた。普段は圧倒的なレベルの差がある中でリーグ戦をこなしているが、それらの対戦は彼らにとっては格好の練習試合の場なのだとあらためて確信した。

 リーグでの対戦相手の戦略はほぼ例外なく「なんとかボールを奪い取ってカウンターに転じる」、というものだ。よって敵方は守備に比重をかけて、時には全員が引いて強烈なプレスをかけてくる。毎戦その状態で実戦をこなしているのだから、ボールキープ力も磨かれるというものだ。

 キーパーソンは中盤の2人、マテュイディとヴェッラッティだ。とにかくスタミナのあるマテュイディは豊富な運動量で、いはゆる「ユビキタス」な存在。空いたスペースをことごとく潰す。

 そしてヴェッラッティは、卓越したビジョンで正確なパスをさばけるのに加えて相手とマッチアップしたときのボール奪取が巧い。2月初旬から恥骨部を傷めて欠場していたが、チェルシー戦を前に、毎試合ごと、ブラン監督に浴びせられた記者たちからの質問は「ヴェッラッティは間に合うのか?」だった。

「90分は無理だろう」と話していたブラン監督だが、13日のリール戦で後半スタート時からヴェッラッティをピッチに送り出すと、このチェルシー戦でも80分までピッチに留め、それに応えるようにヴェッラッティは95%というパス成功率をマークした。

 ラビオとの交代が告げられたときのスタンドからの大きな拍手が彼の活躍度を象徴していたが、ヴェッラッティはいまやPSGにはなくてはならない存在だ。この試合の前日に2020年までの契約延長が発表されたが、引き抜きの話が絶えなかっただけに、この契約延長で本人も精神的によりフォーカスされたのかもしれない。

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