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バルサが失った支配力。降格圏の昇格組相手の苦戦は“ピッチ上の指揮官”不在にあり

リーガエスパニョーラ第25節、バルセロナはアウェイでラス・パルマスと対戦。今季から昇格し現在は降格圏に沈む相手だけに大差での勝利も期待されたが結果は2-1。内容も十分とはいえないものだった。ラス・パルマスが準備していたバルサ対策のプランと、低調なプレーとなった要因を探る。

text by 海老沢純一 photo by Getty Images

バルサの中盤を潰す戦略を立てたラス・パルマス

バルセロナ
昇格組に苦戦したバルセロナ【写真:Getty Images】

 通常、降格圏に沈む昇格組と3冠王者との対戦となると、引いてゴール前を固めるチームと圧倒的に攻め込むチームという構図となる。そのスコアも得点数を稼ぐチャンスといえるほどの大差が予想される。

 この日、リーガエスパニョーラ第25節で行われた一戦は、まさにそうなるはずのカードだった。今季2部から昇格したラス・パルマスは最下位と勝ち点1差の18位と降格圏に沈んでいる。

 そのラス・パルマスのホーム、エスタディオ・グラン・カナリアに乗り込んだのは昨季の3冠王者バルセロナ。得点王争いをリードするルイス・スアレスやその後を追うネイマール、メッシにとっては得点数を稼ぐ絶好の機会だったといえる。

 ところが、結果は2-1。勝ち点3こそ手に入れたものの、内容を見るとバルセロナは大いに苦しめられていた。

 まず、バルセロナがこれまでくるしめられ時に敗れた相手の対バルサ戦術は、主に前線の選手がバルサの最終ラインに激しくプレッシャーをかけ、CBの2人からボールを奪うかミスを誘うことでショートカウンターを狙うというもの。

 しかし、ラス・パルマスの指揮官キケ・セティエンが準備したプランは全く異なっていた。ラス・パルマスは、今季主に4-2-3-1のシステムで戦っているが、この日は4-1-4-1を採用。守備時には2列目の4人が高い守備意識を持ってバルサのイニエスタとアルダの中盤コンビをつぶしにかかった。

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