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バルサが失った支配力。降格圏の昇格組相手の苦戦は“ピッチ上の指揮官”不在にあり

text by 海老沢純一 photo by Getty Images

バルサを操るアンカー、ブスケツの不在

 バルサはメッシ、スアレス、ネイマールの3人にフォーカスが当てられるが、支配力を高めるためにも前線の3人が生きるためにもこの中盤の存在が決め手となる。他クラブのようにハイプレスを仕掛けるのも結局は中盤にボールを渡さないためであり、目的は同様だがラス・パルマスはより直接的な対策を打ってきたといえる。

 実際、このプランは有効だった。この試合のスタッツを見ると、支配率48.3%(ラス・パルマス):51.7%(バルサ)、パス成功数424本:490本と武器である支配力は大きく落とされていた。

 選手個々で見ても、フル出場したイニエスタのボールタッチ回数は79回でパス本数は65本。ボールタッチ数100回、パス本数90本近くを記録することも少なくないイニエスタにとっては非常に物足りない数字である。インサイドハーフでコンビを組んだアルダはハーフタイムでラキティッチと交代を指示された。

 バルセロナがラス・パルマスのプランにはまった要因にはセルヒオ・ブスケツの不在がある。アンカーの役割を担うブスケツは前半にチームが機能していないと判断すると、時には中盤の底からボールの流れを変えるパスを出し、時にはCBの中央に入りビルドアップをスムーズにする手助けをする。

 ブスケツは“ピッチ上の指揮官”としてバルサというチームを操っている重要な存在だが、この試合では累積警告により出場停止。代役として中盤の底に入ったセルジ・ロベルトは優秀な選手だがチームの戦い方を操れるほどの影響力はなかった。

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