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マラガが突いたレアルの“心臓”。あぶり出された弱点、ジダンに訪れた正念場

text by 海老沢純一 photo by Getty Images

マラガが狙ったクロースの両脇

 ホームのエスタディオ・ラ・ロサレーダにレアル・マドリーを迎えたリーガエスパニョーラ第25節でも、同様の展開となった。ジネディーヌ・ジダン監督の就任以降、公式戦7試合で25得点という破壊力を見せていたマドリーに対して、その弱点を突きゴールに迫った。少なくとも5回は得点になり得る決定的なチャンスを作り出していた。

 しかし結果は1-1。今回は勝ち点1を取れただけ救いがあるが、高い決定力を持つFWがいれば、大金星となっていた可能性は高い。それ以前に相手がマドリーであってもホームでの勝利が大金星とは言われない順位に付けていたはずだった。

 ただ、マドリーの弱点をあぶり出したという点においては、今後のリーガエスパニョーラの戦いに多少なりとも影響を及ぼす一戦となったことは間違いないだろう。

 まず、マラガが狙ったのはマドリーの“心臓”部分、中盤の底に位置するトニ・クロースの守備力だった。クロースは、「レジスタ」という役割に関しては現在のサッカー界でトップクラスといえる能力を持っている。一方で、より守備的な能力が求められる「アンカー」としての適性はない。

 それでもジダン監督の就任以降は、クロース本人なりに守備意識を高く持ち、インサイドハーフのルカ・モドリッチのカバーリングもあって大きな穴とはならず、チームが試合を支配できていた。

 しかし、マラガはカウンターを仕掛ける際に、このクロースの両脇のスペースを狙うことでマドリーの守備陣を混乱させることに成功した。

 ボールを持ってプレーした位置を示す「アクションエリア」を見ると、マラガは敵陣センターサークルとペナルティエリアの間、つまりクロースがカバーすべきエリアで最多の20%を記録している。

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