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本田圭佑 8年前

気運高まる本田を邪魔する厄介者。過去にすがる名物会長の憧憬と過度な現場へプレッシャー

text by 神尾光臣 photo by Getty Images

本田は会長に“泥臭いプレー”を認めさせることができるか

ミハイロビッチ
ミランのシニシャ・ミハイロビッチ監督【写真:Getty Images】

 もっとも、現場は別の判断をする権利と義務がある。前節のユベントスがそうだったように、パスの構成力が極めて高い現在のナポリと戦うには組織守備から入らなければならない。

 21日のミハイロビッチ監督は「会長の言葉はそれに対してコメントするものではなく、ただ拝聴するものだ」と語った一方で「いい天気の中でいいプレーをするのはアマチュアだが、嵐のなかで勝つためにプレーするのがプロフェッショナルだ」と反骨心を示していた。

 結局、勝利を得るためにハードワークを徹底するというこのところの路線継続は必須。そして先発が濃厚視される本田の役割も変わらないだろう。対面のナポリの左サイドの連携を崩すことだ。

 今季大活躍中のロレンツォ・インシーニエをマレク・ハムシクがサポートし、後方からは攻撃的なサイドバックのファウジ・グーラムが絡む。ナポリの左サイドは戦術的な生命線であり、ここを封じることが勝利への第一条件となる。

 本田に求められるのは、まずこれまでどおりの精力的な守備。グーラムにプレスをかけ、ハムシクへのパスを寸断し、サイドバックと連動してインシーニエが左のドリブル突破を仕掛けるスペースを消すことだ。そして攻撃では、いかに裏のスペースを素早いパス出しで崩せるか。中盤や最終ラインの寄せは早いが、周囲といかにスピーディなパス回しができて速攻へと持っていけるかが勝負の鍵となる。

 なおベルルスコーニ会長は今回の一連のコメントの中で、ジャコモ・ボナベントゥーラのこともいろいろと持ち上げていた。「将来的には10番をつけることが約束されているし、彼は私にとってはトップ下の選手である」。あわよくば、4-3-1-2に戻させようという勢いだ。4-4-2というシステムの守備の安定感も評価していなければ、本田のハードワークにも目が留まっていないのではとも邪推させる。

 だがチームが再び強くなるためには、まずチームとしての一体感という土台を築くことが重要ではないのだろうか。勝利に導く上での泥臭いプレーの重要性を、あの会長の口から語らせるような活躍を、本田には見せて欲しいものである。

【了】

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