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日本代表 8年前

大儀見よ、イブラになれ。苦境のなでしこ、リオ五輪予選逆転突破のために必要な3つの変革

text by 舩木渉 photo by Getty Images

【2】キャプテン宮間の過度な重圧を取り除くべし

宮間あや
なでしこジャパンを引っ張ってきた宮間あや【写真:Getty Images】

 韓国戦終了直後、インタビューに臨んだキャプテンの宮間あやは「勝たなければいけない試合だったので、残念です」という最初の一言を体の奥底から絞り出すようにして発した。オーストラリア戦とはあまりにも違う様子に正直驚いた。

 宮間といえば常にピッチを俯瞰で見渡し、正確な両足のキックで味方を操り、冷静に展開を分析して味方を鼓舞する姿の印象が強い。勝っていても負けていても淡々と次を見据えて言葉を発し、背中でチームを引っ張ってきた唯一無二の存在だ。

 それがいまにも感情が爆発しそうな、壊れてしまいそうな調子でインタビューに応えている。その姿を見て心を痛めると同時に、あまりに大きなものを背負い過ぎているのではないかと感じた。

彼女は常日頃から「日本で女子サッカーを文化にしたい。私はそのためにできることを全力でやる」と口にする。筆者も2年前ある企画でインタビューした際に同じことを聞き、非常に感銘を受けたのを覚えている。

 テレビの前では「内容どうこうではなくて勝たなければ意味がないので、本当に残念」と自らを鼓舞するように強い言葉を発するが、「日本女子サッカー」という大きなものを1人で背負いながら戦うことが重荷になっているのではないか。

 キャプテンは周りの選手たちがいなければ成り立たない。リーダーが1人いて、その人物がいくら優れていようと後をついていく者たちが心を1つにしなければチームにはなれない。もちろんなでしこは非常に優れた集団で、素晴らしいリーダーがいて、この上なく魅力的な組織を形成している。

 だが、少しだけバランスがずれているような感覚がある。そこで宮間の周りにいる選手たち1人ひとりが「あやさん、私が何とかするから」という気持ちを少しずつ持って背中を押してあげるのはどうだろうか。もちろんいまも全員で戦っている。それは間違いない。だがもう少しだけ「私が決めてやる」という自己意識を高められないだろうか。

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