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「自分のレベル」を示したロナウド。流れを引き寄せる個人能力。それでも消えない“ケチ”

text by 海老沢純一 photo by Getty Images

クロースとモドリッチ。要を失い機能せず

 しかし、前半の45分間は決して順調ではなかった。スコアこそCKからペペが決めて1-0で折り返したが、内容的には大きな差はなく、ほぼ互角。戦術プランが機能していたのはむしろセルタだった。

 セルタは、特にホームで圧倒的な得点力を持つマドリーに対して、カウンターで応酬。特徴的だったのは、中盤から前線のイアゴ・アスパスに向けて主にピッチ中央を割る軌道で送られた浮き球のパスだった。セルヒオ・ラモスとペペのCBは、イアゴ・アスパスの裏を狙うスピードにうまく対処しきれず、得点のチャンスとなりそうな場面も何度かあった。

 不運ともいえる1点のビハインドでハーフタイムを迎えたが、セルタは十分に手応えを感じていたはず。そして迎えた後半戦。待っていたのはマドリーのゴールショーだった。

 マドリーは、クロースとモドリッチという中盤の要を失ったことでチームとして狙いを持ったプレーが出来てはいなかった。前半を通して、流れの中から決定的なチャンスはあまり作り出せず、ロナウドにも決定機は訪れなかった。

 それでも50分にペナルティエリア外からのミドルシュートでゴールをこじ開けると、58分には直接FKを決めて点差を広げた。そして、この後ロナウドが2点を追加して計4得点、さらに途中出場のベイルとヘセが決めて7-1のスコアに終わった。

 特にロナウドの1得点目と2得点目は、個人の力によって生み出されたものであり、拮抗した試合で流れを引き寄せるには、チャンスメイクのない場面での得点は重要となる。互角だった前半から後半は一転して一方的な展開となったきっかけは、ロナウドによる個人能力の2得点だった。

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