本田に託した指揮官の一手。例え本職でなくとも――。右サイドで攻守を支える戦術的貢献

ミランは現地時間6日、セリエA第28節でサッスオーロとアウェイで対戦する。右サイドで定位置を掴んでいる本田圭佑だが、当初からこのポジションを任されていたわけではなかった。それでも監督は本田にこのポジションを任せ、本田自身もそれを理解してチームのためにプレーしている。

2016年03月06日(Sun)15時06分配信

text by 神尾光臣 photo Getty Images
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本田に託したミハイロビッチ監督の一手

本田
ミランの本田圭佑【写真:Getty Images】

 今から6年前のことである。最下位に沈んでいたカターニアを立て直すために呼ばれたシニシャ・ミハイロビッチ監督は、戦術を成立させるためにある一手を考えた。アルゼンチン人FWのアドリアン・リッキューティをインサイドMFに下げるというものだった。

 ミハイロビッチは守備時に4-1-4-1となる4-3-3のシステムを取っていたが、攻守をつなぐインサイドMFが不足しており、前線と中盤は分断気味だった。そこに小柄だが技術が高く、スペースに飛び出すセンスもあるリッキューティをコンバートしようと考えたのだ。

 ただ当然のこと、言い渡された本人は戸惑いを隠せない。「中盤なんてやってことないですよ」と監督に言ったところ、こう返される。「この要求を呑んでくれなければ、お前にポジションは用意できない」。それは事実だった。3トップはそれぞれCFとウイングにあった選手が選択され、2トップの一角かトップ下を特性をするリッキューティにとっては戦術上居場所がなかった。

 結局彼はコンバートを受諾し、攻守の繋ぎ役として活躍する。するとチームのバランスも一気に向上し、カターニアはあっという間に降格圏を脱出。そしてホームではインテルやフィオレンティーナを破り、アウェーでもミランからドローをもぎ取るなどの活躍を見せ(リッキューティはその試合でゴールを挙げる)、カターニアは勝ち点記録を更新し残留へと突っ走った。

 今のミランでの本田圭佑を見ていると、当時のことを思いだす。本来のトップ下から落とされ、4-4-2の右サイドハーフでのポジション争いを余儀なくされるが、その場所で監督の戦術的要求を理解し実行した。そして5日、サッスオーロ戦に向けての前日会見では、指揮官の口からこんな言葉も飛び出したのだ。

「とりわけミランの10番ならゴールを決めてもらわないといけないが、単なる“10番”としての役割以上に複雑な仕事を彼はやってくれている。我々のバランサーとなってくれているし、この戦術システムの成立に大きな貢献をしてくれている」

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