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香川真司 8年前

それでも香川真司が必要な理由。ドルトで唯一無二の存在、大一番でベンチ外も指揮官が見出す“10番”が輝く道

先週末のバイエルン・ミュンヘン戦でベンチ外となったボルシア・ドルトムントの香川真司。優勝を争う大一番でのこの処遇に、戦力外という声も聞かれた。香川は指揮官の構想外となってしまったのか? 現地で取材を続ける記者が分析する。

text by 本田千尋 photo by Getty Images

監督はなぜ香川をベンチ外としたのか?

トーマス・トゥヘル
トーマス・トゥヘル監督【写真:Getty Images】

 2016年3月5日のブンデスリーガ第25節、ボルシア・ドルトムントがバイエルン・ミュンヘンをホームに迎えた試合で、香川真司はベンチ外となった。

 しかしこの措置を、監督トーマス・トゥヘルから香川に対する戦力外通告と捉えるのは、時期早尚である。試合後の会見で、トゥヘルは香川をメンバー外としたことについて、次のように言及した。

「戦術上の理由からだ。今日はDFラインに5枚並べる戦術だったからだ。非常に心が痛んだが、10番タイプの選手を外すしかなかった。シンジは健康で、病気でも怪我でもない」

 まずはバイエルン戦を、5ポイントという勝ち点差や1位と2位の直接対決といったピッチ外のシチュエーションを取り除いて、純粋にピッチ上のゲームとして注視する。大一番とは言え、ブンデスリーガの1試合であることに変わりはない。

 そうしてバイエルンを研究した末に、トゥヘルは「DFラインに5枚並べる戦術」=【5-4-1】を選択した。先発メンバーは以下のとおり。

【GK】ビュルキ
【DF】ドゥルム、ピシュチェク、ベンダー、フンメルス、シュメルツァー
【MF】ムヒタリヤン、バイグル、ギュンドアン、ロイス
【FW】オーバメヤン

 中盤には、バイグルとギュンドアンという、タイプ的には6番と8番が並んだ。DFラインの中央も含めて対人に強い選手を並べながら、ドゥルム、シュメルツァーのSB、そしてムヒタリヤン、ロイス、オーバメヤンと、攻守の切り替えと縦のスピードを特徴とする選手を選んでいる。

 同様にベンチにも目をやると、ライトナー、シャヒン、カストロ、ギンターといった、8番もしくは6番の選手が並んだ。

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